がんリスクを上げる・下げる「食生活」

がんリスクを上げる・下げる「食生活」

 デスクワークの時間が長い人は、数時間おきに立って歩くことを意識するなど、積極的にリスクを下げる行動を心がけてほしい。また、しっかり休むことも予防には欠かせない。2023年の中華科技大学を中心とした論文では、1日の睡眠時間が7時間未満の人は69%、6時間未満の人と、日中に昼寝をしなかった人は60%もがんリスクが増加。一方で、睡眠時間が9時間より長いと乳がんの発症リスクが22%も増加。健康のためには、適度な睡眠が必要なのだ。秋津医院院長の秋津壽男さんが言う。

「そのためには、しっかりと湯船につかること。入浴に直接のがん予防効果はありませんが、湯船につかることによる温熱効果とリラックス効果により、免疫力の向上が期待できます。サウナや熱すぎるお湯は刺激が強く炎症のもとになるので、ぬるめのお湯に5〜10分ほどつかるのがいいでしょう」(秋津さん)

 免疫が過剰に働くとアレルギーに発展することもあるが、意外にも、花粉症患者はがんになりにくいというデータもある。

「北米、ヨーロッパ、オーストラリアの1万人以上を対象とした大規模な疫学調査では、花粉症の人の膵臓がん発症リスクは、花粉症でない人と比べて57%も低かったという結果があります。日本でも、花粉症患者のがん死亡率は52%低下するという結果に。花粉症の人は免疫監視機構が強く、それががん細胞を排除するのに役立っているのではないかと考えられます」(中川さん)

 一方“がんを呼ぶ病気”の代表格が「歯周病」だ。

「米ハーバード大学とマサチューセッツ総合病院の研究では、歯周病患者は大腸がんに移行しやすい鋸歯状ポリープや腺腫の発症リスクが17%高く、また歯周病によって歯を4本以上失った人は同リスクが20%高くなることがわかりました」(大西さん)

 歯茎の血管から歯周病菌が体内に侵入し、それが脳や心臓をはじめ全身の血管に炎症を起こすことが一因だとされている。

「重要なのは、歯周病菌が体内に入るのを防ぐこと。正しい口腔ケアをこまめに行うことが肝要です」(秋津さん・以下同)

 普段の行動とがんリスクを照らし合わせて予防に励んでほしい。秋津さんは「がんリスクを下げるものよりも、上げるものの方がずっと多い」と語る。

「がんはリスクを上げないようにすることの方が簡単であり、大切です。肥満、運動不足、ストレス、お酒、たばこを少しでも避ける努力をすることこそ、がん予防のいちばんの近道だと心得てください」

(了。前編から読む

※女性セブン2024年5月23日号

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がんリスクを上げる・下げる「生活習慣」

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