ライフ

御木本あかりさん、オバサマ4人の日常を活写する最新小説についてインタビュー「やたらに終活、終活って言うけど、あれはほんとに腹立たしい」

御木本あかりさん/『終活シェアハウス

『終活シェアハウス』の著者・御木本あかりさんにインタビュー

【著者インタビュー】御木本あかりさん/『終活シェアハウス』/小学館/1980円

【本の内容】
 物語はこんなふうに始まる。《オバサマ達は、いつも唐突に用を言いつける。/早朝でも夜中でも、通学する直前だってお構いなしだ。/「唐突じゃないわよ、機敏なだけ。パッと閃いた時に言わないと、忘れちゃうしね」》。スーパーで声をかけられたことをきっかけにシェアハウスに暮らす歌子らの「秘書」になった、三流大学の学生・速水翔太はオバサマたちに振り回されっぱなし。翔太を振り回すのは、「葵女子学院」で小学校入学から短大卒業まで長い付き合いの68歳の3人。そこに軽度認知障害を持つ、同じく同級生の恒子が加わり、新たに4人の共同生活がスタート。再就職や病気、恋愛、お金、そして住むところ……いろいろ大変なことはあっても、やいのやいのと新しい道を切り開くオバサマたちの元気が出る物語。

あらゆる登場人物が私の分身なんです

 2年前、69歳のとき『やっかいな食卓』で小説家としてデビューした御木本あかりさん。2作目の『終活シェアハウス』では小学校からの同級生4人、全員あわせると272歳の女性たちの共同生活を、「秘書」として雇われ、実態は雑用係の大学生、翔太の視点から描く。

 独立したストーリーだが前作とのつながりもうまく設定されている。デビュー作を書いたときから2作目も構想できていたのだろうか。

「まったく考えてなかったです。1作目を書くだけで青息吐息でしたから。2作目どうしようってなったとき、若い編集者が『共同生活っていうのは面白いですね』と言い出し、なるほど、と思ってそこからストーリーをふくらませました」

 御木本さん自身にはこのような共同生活の経験はないが、外交官夫人として海外生活が長く(通算9か国、23年)、シェアハウスやルームシェアという暮らし方は珍しいものではなかったと言う。

『やっかいな食卓』では脇役だった恒子(フードスタイリストのユキの母)が、今回は主役の1人として再登場する。68歳にして認知症の前段階と診断された恒子を受け入れるのが、60年来の友だちである歌子、厚子、瑞恵の3人だ。

「『やっかいな食卓』の続きを読みたいという人からは、凛子さん(ユキの夫の母)はどうなるのか、ユキさんの将来はとか、(凛子の孫の)叶ちゃんは、ってずいぶん聞かれたんですけど、私自身には、恒子さんをどうしようって気持ちがずっとありました。娘のところではなく友だちと共同生活を始めさせたけど、病気もあるし、女同士いくら仲良くても一緒に暮らすとなるとそう簡単じゃない。作者としては責任持たなきゃという気持ちがあったんです」

関連キーワード

関連記事

トピックス

6月6日から公開されている映画『国宝』(インスタグラムより)
【吉沢亮の演技が絶賛】歌舞伎映画『国宝』はなぜ東宝の配給なのか 松竹は「回答する立場にはございません」としつつ、「盛況となりますよう期待しております」と異例の回答
NEWSポストセブン
さいたま市大宮区のマンション内で人骨が見つかった
《さいたま市頭蓋骨殺人》「マンションに警官や鑑識が出入りして…」頭蓋骨7年間保管の齋藤純容疑者の自宅で起きた“ある異変”「遺体を捨てたゴミ捨て場はすごく目立つ場所」
NEWSポストセブン
大谷翔平の投手復帰が待ち望まれている状況だが…
大谷翔平「二刀流復活でもドジャースV逸」の悲劇を防ぐカギは“7月末トレード” 最悪のシナリオは「中途半端な形で二刀流本格復活」
週刊ポスト
フランスが誇る国民的俳優だったジェラール・ドパルデュー被告(EPA=時事)
「おい、俺の大きな日傘に触ってみろ」仏・国民的俳優ジェラール・ドパルデュー被告の“卑猥な言葉、痴漢、強姦…”を女性20人以上が告発《裁判で禁錮1年6か月の判決》
NEWSポストセブン
ホームランを放った後に、“デコルテポーズ”をキメる大谷(写真/AFLO)
《ベンチでおもむろにパシャパシャ》大谷翔平が試合中に使う美容液は1本1万7000円 パフォーマンス向上のために始めた肌ケア…今ではきめ細かい美肌が代名詞に
女性セブン
ブラジルへの公式訪問を終えた佳子さま(時事通信フォト)
《ブラジルでは“暗黙の了解”が通じず…》佳子さまの“ブルーの個性派バッグ3690レアル”をご使用、現地ブランドがSNSで嬉々として連続発信
NEWSポストセブン
告発文に掲載されていたBさんの写真。はだけた胸元には社員証がはっきりと写っていた
「深夜に観光名所で露出…」地方メディアを揺るがす「幹部のわいせつ告発文」騒動、当事者はすでに退職 直撃に明かした“事情”
NEWSポストセブン
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
「生肉からの混入はあり得ないとの回答を得た」“ウジ虫混入ラーメン”騒動、来来亭が調査結果を公表…虫の特定には至らず
NEWSポストセブン
左:激太り後の水原被告、右:2月6日、懲役刑を言い渡された時の水原被告(左:AFLO、右:時事通信)
《3度目の正直「ついに収監」》水原一平被告と最愛の妻はすでに別居状態か〈私の夢は彼と小さな結婚式を挙げること〉 ペットとの面会に米連邦刑務局は「ノー!ノー!ノー!」
NEWSポストセブン
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン