立川志の輔に稽古をつけてもらったと明かす(撮影/小倉雄一郎)
「一瞬、嘘をついちゃおうと思った」
──なんかドキドキしますね。
方正:一瞬、小さいころから落語が大好きやったんですと嘘をついちゃおうと思ったんです。39歳で初めて落語を聴いて、好きになったんですなんて言ったら、「おまえ、なめてんのか!」って怒られるかなと思ったんで。でも、ここは正直に言わなあかんと思って、「実は39歳で枝雀師匠の落語を聴いて、そこから大好きになってしまったんです」と答えました。そうしたら、師匠が「ああ、よかった」と言ってくれて。志の輔師匠は最初、僕が落語を利用しようとしているのかと思ったそうなんです。なので「違うんだね、出会っちゃったんだね」って。
──もう、そのやりとりが落語のようです。
方正:僕が落語家になると言ったとき、反応はだいたい二通りだったんです。「何で入ってくんねん」か、「入ってきてくれてありがとう」か。賛否、両極端やったんです。でも志の輔師匠は違ったんですよね。「出会っちゃったんだね、僕もそうなんだよ」と。「だったら、しょうがないよね」って言ってくれたんです。
(全3回の第1回。第2回に続く)
