(時事通信フォト)

1995年12月19日、WBA世界ミドル級タイトル戦で王者ホルヘ・カストロを攻める挑戦者の竹原慎二(時事通信フォト)

引退からわずか半年で審判員に合格

 そして彼が次に選んだのがレフェリーとしてのボクシング人生だった。

 1998年に引退すると、すぐに審判員の研修を受けた。半年後の1999年5月、JBCからC級審判員に合格したことが発表された。日本のジム所属の外国人ボクサーとしては初の審判員だった。

 ボクシングの審判員には2つのポジションがある。

 リングへ上がってノックダウンや反則行為を監視し、試合進行を統括する「レフェリー」。そして、もうひとつがリングサイドで優勢・劣勢を採点する3人の「ジャッジ」である。

「研修ではまずジャッジの訓練を受けます。ボクシングの試合会場に行って、試合を見ながら実際に採点します。そのジャッジペーバーを指導官に提出し、評価を受ける。指導官の採点と違う点があれば、“なぜこの採点になったか”を訊かれる。後日、その試合のビデオを見ながら細かく指導してもらうこともありました」(ビニー・マーチン、以下同)

 並行してレフェリーとしての実技講習も行なわれる。大先輩の審判員と一緒にリングに上がり、レフェリーのジェスチャーやウオーキング(足運び)の指導を受ける。ターン、バックステップ、フロントステップ、ストップなどを実演してもらい、それを真似るところから始まる。さらに実際の試合でリング下から指導官レフェリーの動きを学び、プロテストなどの場で実地体験をする。

「このような研修期間は個人によって違う。通常は1〜2年かかりますが、私は元日本王者というキャリアがあり、選手の動きやパンチを出すタイミングはだいたいわかっていましたから、リング上で的確に動くことができた。半年でC級審判員に合格できたのはそういう理由がありました」

 4回戦までの試合を担当するC級審判員に合格したマーチンはすぐにB級(6回戦までの試合を担当)に昇格し、さらに半年後の2000年1月には日本タイトルのレフェリーができるA級審判員に昇格。異例のスピード昇格だったことは間違いない。

 世界タイトルマッチの審判ができる国際審判員は、JBCが能力を認めて推薦することになる。ここでもマーチンの経歴は役に立った。日本語のほか、英語、ガーナ語、アラビア語が堪能なマーチンは国際審判員のライセンスも取得。ただし、世界タイトルマッチのジャッジをするまでには審判員になってから5年以上を費やした。

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