銃撃後、右耳に負傷を負ったと見られるトランプ氏(時事通信フォト)
東部ペンシルベニア州の土地柄
トランプ氏は共和党の候補者として現在、米大統領選に向けて各地で演説をしている。今回、トランプ氏が演説を行なっていた東部ペンシルベニア州は民主党の対立候補、ジョー・バイデン現大統領の故郷でもあり、因縁の地でもあった。前出・ジャーナリストが続ける。
「同州はいわゆるスイングステート、激戦州のなかでも選挙人の数が最も多く、両陣営が重要視している州のうちのひとつです。一週間ほど前、バイデン大統領は支持基盤である黒人教会や労働組合に向けた集会で演説しています。
同州は高齢化と産業の空洞化が進むエリアでもあります。首都ワシントンから北に向かって約400キロほどのエリアですが、そこにはかつて栄えた工場などの廃墟も多数見受けられます。日本製鉄が買収を提案しているUSスチールの本社が所在しているのもこの地です。同社の買収をめぐる両陣営の政策、特にエネルギー政策については支持率にとって重要な意味合いを持っています」
こうした背景があるなかで、2020年の大統領選でも両陣営が激突している。結果的にバイデン氏が勝利しているが、トランプ支持者らと見られる男2人による開票所の襲撃計画が摘発される事件もあった。
Real Clear Politics(RCP)の世論調査集計で公開されている、同州における現在の支持率推移は7月に入ってから、トランプ氏の優勢でよりいっそう広がっている。この襲撃事件が11月の大統領選に向けてどういった意味をもたらすのだろうか。