ビジネス

なぜ伊丹十三作品はネットフリックス配信をしないのか? 宮本信子、会長、社長が明かす「伊丹プロダクション」の経営方針

宮本信子は女優として、そして妻として伊丹十三を支えてきた(撮影/塩原洋)

宮本信子は女優として、そして妻として伊丹十三を支えてきた(撮影/塩原洋)

 アニメーションが国内の映画産業を支えるようになったいま、興行・批評ともに成功を収める実写映画のスター監督は出てこないのか──。初長編『お葬式』(1984年)の公開から40年。当時51歳にして監督デビューを飾った伊丹十三の登場は文字通り〈事件〉だった。

 伊丹映画は、義弟である大江健三郎原作の『静かな生活』を除けば、そのすべてが自分で書いたオリジナル脚本だ。『マルサの女』(1987年)に代表される『女』シリーズでは、脱税、地上げ、民事介入暴力、スーパーの産地偽装問題など、社会の暗部に焦点を当てる題材で日本中をあっと驚かせた。原作ありきの企画が多くを占める現在の映画界と比べると、その唯一無二のフィルモグラフィは驚嘆に値する。

 なぜ伊丹十三はわずか14年間という監督生活において10本もの独創的な映画を生み出せたのか。成功の裏にあったのは“セルフ・ファイナンス”という異例の製作方式だった。伊丹映画に製作として名を連ね、伊丹プロダクションの経営面を任された玉置泰氏(現・伊丹プロダクション代表取締役会長)が語る。

「次の作品をもっといいものにしたい、伊丹さんが常にそれだけを思っていたのは事実です。そして、それが実行できたのは、全部自分でお金を出しているから。外れたらその失敗は全部自分に来る。でも失敗しないように当たりそうな映画を作るわけでもない。当たるだけだったら自分で満足できないんですね」

 映画製作において複数の企業が出資し、リスクを分散する「製作委員会」方式が徐々に広まったのは1980年代以降。時を同じくして映画を作り始めた伊丹だが、彼の映画は初長編の『お葬式』(1984年)以外、すべて自分たち伊丹プロダクションによる単独出資で作られている。

「自分として納得のいく映画を作ってヒットさせる。いい映画を作る人はたくさんいますが、普通、監督は映画が当たっても監督料プラスアルファをもらうだけですよね。でも伊丹さんは自分で宣伝もして映画をヒットさせて、その資金で次の映画を作った。全部やるんです。他の映画監督の方々と立場が全然違って、そういう意味でも恵まれていたと思います」(同前)

関連記事

トピックス

新恋人A氏と交際していることがわかった安達祐実
《安達祐実の新恋人》「半同棲カレ」はNHKの敏腕プロデューサー「ノリに乗ってる茶髪クリエイターの一人」関係者が明かした“出会いのきっかけ”
NEWSポストセブン
イベントの“ドタキャン”が続いている米倉涼子
「押収されたブツを指さして撮影に応じ…」「ゲッソリと痩せて取り調べに通う日々」米倉涼子に“マトリがガサ入れ”報道、ドタキャン連発「空白の2か月」の真相
NEWSポストセブン
新恋人A氏と交際していることがわかった安達祐実
《“奇跡の40代”安達祐実に半同棲の新パートナー》離婚から2年、長男と暮らす自宅から愛車でカレを勤務先に送迎…「手をフリフリ」の熱愛生活
NEWSポストセブン
元従業員が、ガールズバーの”独特ルール”を明かした(左・飲食店紹介サイトより)
《大きい瞳で上目遣い…ガルバ写真入手》「『ブスでなにもできないくせに』と…」“美人ガルバ店員”田野和彩容疑者(21)の“陰湿イジメ”と”オラオラ営業
NEWSポストセブン
明治、大正、昭和とこの国が大きく様変わりする時代を生きた香淳皇后(写真/共同通信社)
『香淳皇后実録』に見当たらない“皇太子時代の上皇と美智子さまの結婚に反対”に関する記述 「あえて削除したと見えても仕方がない」の指摘、美智子さまに宮内庁が配慮か
週刊ポスト
「ガールズメッセ2025」の式典に出席された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月19日、撮影/JMPA)
《“クッキリ”ドレスの次は…》佳子さま、ボディラインを強調しないワンピも切り替えでスタイルアップ&フェミニンな印象に
NEWSポストセブン
結婚へと大きく前進していることが明らかになった堂本光一
《堂本光一と結婚秒読み》女優・佐藤めぐみが芸能界「完全引退」は二宮和也のケースと酷似…ファンが察知していた“予兆”
NEWSポストセブン
売春防止法違反(管理売春)の疑いで逮捕された池袋のガールズバーに勤める田野和彩容疑者(21)
《GPS持たせ3か月で400人と売春強要》「店ナンバーワンのモテ店員だった」美人マネージャー・田野和彩容疑者と鬼畜店長・鈴木麻央耶容疑者の正体
NEWSポストセブン
日本サッカー協会の影山雅永元技術委員長が飛行機でわいせつな画像を見ていたとして現地で拘束された(共同通信)
「脚を広げた女性の画像など1621枚」機内で児童ポルノ閲覧で有罪判決…日本サッカー協会・影山雅永元技術委員長に現地で「日本人はやっぱロリコンか」の声
NEWSポストセブン
三笠宮家を継ぐことが決まった彬子さま(写真/共同通信社)
三笠宮家の新当主、彬子さまがエッセイで匂わせた母・信子さまとの“距離感” 公の場では顔も合わさず、言葉を交わす場面も目撃されていない母娘関係
週刊ポスト
Aさんの左手に彫られたタトゥー。
《10歳女児の身体中に刺青が…》「14歳の女子中学生に彫られた」ある児童養護施設で起きた“子供同士のトラブル” 職員は気づかず2ヶ月放置か
NEWSポストセブン
鮮やかなロイヤルブルーのワンピースで登場された佳子さま(写真/共同通信社)
佳子さま、国スポ閉会式での「クッキリ服」 皇室のドレスコードでは、どう位置づけられるのか? 皇室解説者は「ご自身がお考えになって選ばれたと思います」と分析
週刊ポスト