国際情報

米大学に寄贈された毛沢東氏の秘書の膨大な日記類をめぐって妻が返還訴訟 貴重な歴史的資料として行方に注目

李鋭氏の日記類は誰の手に

李鋭氏の日記類は誰の手に

 中国共産党の故・毛沢東主席(1893~1976)の秘書のほか、党の要職を務め、2019年2月に101歳で死去した、李鋭氏の日記や手紙、会議の議事録など1000万字に上る膨大な記録の所有権をめぐって、李氏の娘と妻が争っており、米国の裁判所で審理に入っていることが明らかになった。

 李氏の日記などはすでに米スタンフォード大学フーバー研究所が保存しており、今後、日記などの分析が進めば、毛沢東の知られざる言動や中国共産党の政策決定など重要な歴史事実が明らかになるとみられる。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。

 米カリフォルニア州オークランドの連邦裁判所は、8月20日から李氏の日記などの所有をめぐって、北京在住の李氏の2番目の妻だった張玉珍氏が起こした記録類の返還を求める裁判の審理を開始した。

 この李氏の日記などは、李氏の死後、李氏と最初の妻の娘、李南陽氏が持ち出し、移住先の米国のスタンフォード大学フーバー研究所に寄贈した。同研究所では中国国民党総裁で、中華民国総統だった蒋介石氏の日記も保存し、詳細な分析を行うなど、中国現代史研究には定評がある。

 しかし、これを知った張氏が2019年4月、北京の裁判所に、李氏の日記類などは妻の張氏が相続してしかるべきなどと訴え、返還を要求。北京の裁判所では、張氏の主張を認める判決を下した。

 これに対して、スタンフォード大学は李氏の日記類の所有は法的に正当だと主張、審理が始まっている。張氏の弁護士は審理初日に、李鋭氏がスタンフォード大学への日記などを寄贈することについて、書面による許可はなかったと述べた。2日目には、娘の李陽南氏が「父は自分の意志で日記をスタンフォード大学に引き渡すことに同意した」と主張している。

 李氏は1917年、北京市生まれで、1937年に中国共産党に入党し、1958年に水利電力省次官と毛沢東の秘書を兼務。その後、一時期、失脚していたが、1979年に名誉回復。1982~1984年に党中央組織部副部長、1982~1987年に党中央委員、1987~1992年には党中央顧問委員を歴任。1991年より改革派の雑誌『炎黄春秋』の編集顧問を務め、2019年、101歳で死去した。

関連記事

トピックス

割れた窓ガラス
「『ドン!』といきなり大きく速い揺れ」「3.11より怖かった」青森震度6強でドンキは休業・ツリー散乱・バリバリに割れたガラス…取材班が見た「現地のリアル」【青森県東方沖地震】
NEWSポストセブン
前橋市議会で退職が認められ、報道陣の取材に応じる小川晶市長(時事通信フォト)
《前橋・ラブホ通い詰め問題》「これは小川晶前市長の遺言」市幹部男性X氏が停職6か月で依願退職へ、市長選へ向け自民に危機感「いまも想像以上に小川さん支持が強い」
NEWSポストセブン
3年前に離婚していた穴井夕子とプロゴルァーの横田真一選手(Instagram/時事通信フォト)
《ゴルフ・横田真一プロと2年前に離婚》穴井夕子が明かしていた「夫婦ゲンカ中の夫への不満」と“家庭内別居”
NEWSポストセブン
二刀流かDHか、先発かリリーフか?
【大谷翔平のWBCでの“起用法”どれが正解か?】安全策なら「日本ラウンド出場せず、決勝ラウンドのみDHで出場」、WBCが「オープン戦での調整登板の代わり」になる可能性も
週刊ポスト
高市首相の発言で中国がエスカレート(時事通信フォト)
【中国軍機がレーダー照射も】高市発言で中国がエスカレート アメリカのスタンスは? 「曖昧戦略は終焉」「日米台で連携強化」の指摘も
NEWSポストセブン
テレビ復帰は困難との見方も強い国分太一(時事通信フォト)
元TOKIO・国分太一、地上波復帰は困難でもキャンプ趣味を活かしてYouTubeで復帰するシナリオも 「参戦すればキャンプYouTuberの人気の構図が一変する可能性」
週刊ポスト
世代交代へ(元横綱・大乃国)
《熾烈な相撲協会理事選》元横綱・大乃国の芝田山親方が勇退で八角理事長“一強体制”へ 2年先を見据えた次期理事長をめぐる争いも激化へ
週刊ポスト
2011年に放送が開始された『ヒルナンデス!!』(HPより/時事通信フォト)
《日テレ広報が回答》ナンチャン続投『ヒルナンデス!』打ち切り報道を完全否定「終了の予定ない」、終了説を一蹴した日テレの“ウラ事情”
NEWSポストセブン
青森県東方沖地震を受けての中国の反応は…(時事通信フォト)
《完全な失敗に終わるに違いない》最大震度6強・青森県東方沖地震、発生後の「在日中国大使館」公式Xでのポスト内容が波紋拡げる、注目される台湾総統の“対照的な対応”
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン