スポーツ

京都国際の胴上げ投手・西村一毅 小牧監督の「プロ行きたいんか?」の問いに「公務員になりたい」 “米イップス”で実家に帰った過去と「優勝後の変化」

「実家に帰らせてください」と語っていた2年生の西村一毅(右)と3年生の中崎琉生(左)

「実家に帰らせてください」と語っていた2年生の西村一毅(右)と3年生の中崎琉生(左)

 甲子園初優勝を果たした京都国際は、快挙から3日後に早くも新チームを始動させていた。胴上げ投手となった2年生の西村一毅や、3年生のエース左腕・中崎琉生の素顔とは。ノンフィクションライターの柳川悠二氏がレポートする(全3回の第3回。第1回から読む)。

 * * *
 この夏、甲子園が生んだ最大のヒーローにして、日本一の立役者となったのが、2年生の左腕・西村一毅だった。2回戦の新潟産大付戦(4対0)と準々決勝の奈良・智弁学園戦(4対0)で完封し、決勝ではタイブレークに突入した10回表に代打で出場。先制のチャンスを広げる一打を放ち、その裏の守りで胴上げ投手になった。采配をズバリ的中させた監督の小牧憲継(41)は言う。

「西村はセンバツではベンチ外で、球速は130キロにも満たなかった。それが甲子園に来て140キロを出し、どこにそんな力を隠していたんやと思うぐらいに成長した。西村ってほんまに変なヤツなんです。今年の春から低反発バットが導入されるということで、去年の夏頃から、パワーをつけるため選手が寮で食べるご飯の量を1食800グラムに決めていた。練習量が多いので、食べないと摂取カロリーが消費カロリーに追いつかず、痩せ細っていくだけですから。ところが……」

 ある時、小牧は細身の西村の異変に気付いた。

「箸の先に米粒ふたつだけを乗っけて、それを見つめたまま2時間ほど動かないんです。食べたくても口にできない“米イップス”になってもうたんですよ(笑)。無理して食べるのがよほどつらかったんだと思います。すると『一度リラックスしたいので実家に帰らせてください』と。そんなヤツが1年後、胴上げ投手ですからね。

 これまで本人に『プロに行きたいんか? それとも大学に行きたいんか?』と問うたりもしてきたんですけど、本人は『高校終わったら楽しく野球をやりたい』とか『公務員になりたい』とか言っていて……。ただ、決勝のあと、『もっとたくさん食べて体を作らないといけない』と言いだしたそうです。優勝投手になった経験が彼自身の意識を変えたのかもしれません」

関連キーワード

関連記事

トピックス

部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《「策士」との評価も》“ラブホ通いすぎ”小川晶・前橋市長がXのコメント欄を開放 続投するプラス材料に?本当の狙いとは
NEWSポストセブン
女性初の首相として新任会見に臨んだ高市氏(2025年10月写真撮影:小川裕夫)
《維新の消滅確率は90%?》高市早苗内閣発足、保守の受け皿として支持集めた政党は生き残れるのか? 存在意義が問われる維新の会や参政党
NEWSポストセブン
2021年ドラ1右腕・森木大智
《悔しいし、情けないし…》高卒4年目で戦力外通告の元阪神ドラ1右腕 育成降格でかけられた「藤川球児監督からの言葉」とは
NEWSポストセブン
滋賀県を訪問された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月25日、撮影/JMPA)
《すぐに売り切れ》佳子さま、6万9300円のミントグリーンのワンピースに信楽焼イヤリングを合わせてさわやかなコーデ スカーフを背中で結ばれ、ガーリーに
NEWSポストセブン
注目される次のキャリア(写真/共同通信社)
田久保真紀・伊東市長、次なるキャリアはまさかの「国政進出」か…メガソーラー反対の“広告塔”になる可能性
週刊ポスト
送検のため奈良西署を出る山上徹也容疑者(写真/時事通信フォト)
《安倍晋三元首相銃撃事件・初公判》「犯人の知的レベルの高さ」を鈴木エイト氏が証言、ポイントは「親族への尋問」…山上徹也被告の弁護側は「統一教会のせいで一家崩壊」主張の見通し
NEWSポストセブン
この笑顔はいつまで続くのか(左から吉村洋文氏、高市早苗・首相、藤田文武氏)
自民・維新連立の時限爆弾となる「橋下徹氏の鶴の一声」 高市首相とは過去に確執、維新党内では「橋下氏の影響下から独立すべき」との意見も
週刊ポスト
元・明石市長の泉房穂氏
財務官僚が描くシナリオで「政治家が夢を語れなくなっている」前・明石市長の泉房穂氏(62)が国政復帰して感じた“強烈な危機感”
NEWSポストセブン
新恋人のA氏と腕を組み歩く姿
《そういう男性が集まりやすいのか…》安達祐実と新恋人・NHK敏腕Pの手つなぎアツアツデートに見えた「Tシャツがつなぐ元夫との奇妙な縁」
週刊ポスト
女優・八千草薫さんの自宅が取り壊されていることがわかった
《女優・八千草薫の取り壊された3億円豪邸の今》「亡き夫との庭を遺してほしい」医者から余命宣告に死の直前まで奔走した土地の現状
NEWSポストセブン
左から六代目山口組・司忍組長、六代目山口組・高山清司相談役/時事通信フォト、共同通信社)
「六代目山口組で敵う人はいない」司忍組長以上とも言われる高山清司相談役の“権力” 私生活は「100坪豪邸で動画配信サービス視聴」も
NEWSポストセブン
35万人以上のフォロワーを誇る人気インフルエンサーだった(本人インスタグラムより)
《クリスマスにマリファナキットを配布》フォロワー35万ビキニ美女インフルエンサー(23)は麻薬密売の「首謀者」だった、逃亡の末に友人宅で逮捕
NEWSポストセブン