国内

【令和の小泉劇場へ】総裁選出馬の小泉進次郎氏 期待される“自民党の救世主”の役割、父・純一郎氏から受け継がれるワンフレーズ・ポリティクス

有力候補に浮上した小泉進次郎氏(時事通信フォト)

有力候補に浮上した小泉進次郎氏(時事通信フォト)

 過去最多となる候補者が名乗りを上げ、例を見ない大混戦になるとみられる自民党総裁選。小泉進次郎氏が有力候補に浮上した背後には、やはり「父」の存在があった。聴衆を熱狂させる演説、踏み込むタイミングを間違えない勝負勘、そして冷徹な選挙戦略───そうした政治家としての力量で周囲を圧倒した「小泉劇場」が令和の世に甦るのか。【全3回の第2回。第1回から読む

「殺されても『自民党をぶっ壊す』と言う」

 自民党の重鎮OBや支持派の議員たちが小泉進次郎氏に期待しているのは、父である小泉純一郎氏のような自民党の救世主という役割だ。

 その手法の一つが、短い言葉で国民に直接呼びかけるワンフレーズ・ポリティクス。

 純一郎氏は2001年総裁選で田中真紀子氏とともに全国を遊説し、「自民党をぶっ壊す」と聴衆の度肝を抜く言葉で、小泉旋風を起こしていった。国民はその言葉に熱狂し、森内閣の失政の数々を忘れて政治の刷新を期待した。そうして純一郎氏は最大派閥をバックにした「本命」の橋本龍太郎・元首相を党員票で圧倒する勝利を収めた。ジャーナリスト・田原総一朗氏が語る。

「あの時は誰も小泉純一郎が当選するとは思っていなかった。当時は田中派の流れを汲む橋本派が自民党も野党も牛耳っていたから、僕が小泉に『あなたが田中派と喧嘩して田中派をぶっ壊すと公然と言えば、国民はあなたを信用する』と言ったら、彼は『田原さん、誓います。殺されても言う』と答えた。そしたら総裁選の演説で、『自民党をぶっ壊す』とやり始めた」

 今回の総裁選では「政治とカネ」の問題への対応が問われる。

 そのことも純一郎氏の時と重なる。山崎拓・元自民党副総裁は「自民党をぶっ壊す」に込められていたもう一つの意味をこう言う。

「小泉の原点は田中角栄と福田赳夫の角福戦争でしょう。

 小泉は福田赳夫首相の秘書として福田邸の下足番をやっていて、福田さんが総裁選に負けた日、小泉だけがやけ酒のご相伴にあずかることになった。そこで福田さんから“田中はカネをばらまいた、大買収をやった”という恨み節を聞くわけです。その恨みを晴らそうというのが、政治家・小泉のDNAになった。それがYKKにも伝染し、われわれは『金権政治排除』を唱えた。

 だから小泉が3回目の総裁選で『自民党をぶっ壊す』と宣言したのは、自民党を壊すのではなく、自民党を支配してきた田中派・経世会をぶっ壊すという意味でした」

関連記事

トピックス

(写真/共同通信)
《神戸マンション刺殺》逮捕の“金髪メッシュ男”の危なすぎる正体、大手損害保険会社員・片山恵さん(24)の親族は「見当がまったくつかない」
NEWSポストセブン
列車の冷房送風口下は取り合い(写真提供/イメージマート)
《クーラーの温度設定で意見が真っ二つ》電車内で「寒暖差で体調崩すので弱冷房車」派がいる一方で、”送風口下の取り合い”を続ける汗かき男性は「なぜ”強冷房車”がないのか」と求める
NEWSポストセブン
アメリカの女子プロテニス、サーシャ・ヴィッカリー選手(時事通信フォト)
《大坂なおみとも対戦》米・現役女子プロテニス選手、成人向けSNSで過激コンテンツを販売して海外メディアが騒然…「今まで稼いだ中で一番楽に稼げるお金」
NEWSポストセブン
ジャスティン・ビーバーの“なりすまし”が高級クラブでジャックし出禁となった(X/Instagramより)
《あまりのそっくりぶりに永久出禁》ジャスティン・ビーバー(31)の“なりすまし”が高級クラブを4分27秒ジャックの顛末
NEWSポストセブン
愛用するサメリュック
《『ドッキリGP』で7か国語を披露》“ピュアすぎる”と話題の元フィギュア日本代表・高橋成美の過酷すぎる育成時代「ハードな筋トレで身長は低いまま、生理も26歳までこず」
NEWSポストセブン
「舌出し失神KO勝ち」から42年後の真実(撮影=木村盛綱/AFLO)
【追悼ハルク・ホーガン】無名のミュージシャンが「プロレスラーになりたい」と長州力を訪問 最大の転機となったアントニオ猪木との出会い
週刊ポスト
野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘に関する訴訟があった(共同通信)
「オオタニは代理人を盾に…」黒塗りの訴状に記された“大谷翔平ビジネスのリアル”…ハワイ25億円別荘の訴訟騒動、前々からあった“不吉な予兆”
NEWSポストセブン
話題を集めた佳子さま着用の水玉ワンピース(写真/共同通信社)
《夏らしくてとても爽やかとSNSで絶賛》佳子さま“何年も同じ水玉ワンピースを着回し”で体現する「皇室の伝統的な精神」
週刊ポスト
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
《駆除個体は名物熊“岩尾別の母さん”》地元で評判の「大人しいクマ」が人を襲ったワケ「現場は“アリの巣が沢山出来る”ヒヤリハット地点だった」【羅臼岳ヒグマ死亡事故】
NEWSポストセブン
真美子さんが信頼を寄せる大谷翔平の代理人・ネズ・バレロ氏(時事通信)
《“訴訟でモヤモヤ”の真美子さん》スゴ腕代理人・バレロ氏に寄せる“全幅の信頼”「スイートルームにも家族で同伴」【大谷翔平のハワイ別荘訴訟騒動】
NEWSポストセブン
中居正広氏の騒動はどこに帰着するのか
《中居正広氏のトラブル事案はなぜ刑事事件にならないのか》示談内容に「刑事告訴しない」条項が盛り込まれている可能性も 示談破棄なら状況変化も
週刊ポスト