正門前は素通りし、国会内で初登院の取材に応じる自民党・森下千里衆院議員(時事通信フォト)

正門前は素通りし、国会内で初登院の取材に応じる自民党・森下千里衆院議員(時事通信フォト)

 そもそも森下議員が名簿順位2位になった背景には、複雑な事情がある。もともと森下議員は2021年に宮城5区から立候補したが落選。その後も宮城5区でひたすら辻立ちを続けるなど、地道な政治活動を展開してきた。

 ところが一票の格差を是正する10増10減の影響で、2024年の衆院選から宮城6区が廃止。それに伴って、森下候補が地盤にしていた宮城5区も大幅な区域の変更が生じた。

 地道に活動を続けてきた森下議員は地盤を失ったため、その救済策として自民党から比例名簿2位という優遇を受けた。森下議員は国会議員になりたてなので政治手腕は未知数だが、少なくとも知名度だけで当選できる比例単独を自分から選んだわけではない。「タレント議員」という形容からは想像しづらいが、地味な活動を続けてきたことが関係者に評価されたのだろう。

初心を忘れず実直な活動を

 初登院日の振る舞いは、特に決まりがない。一番乗りをするために、今回は前日の23時から並んだ議員もいた。朝8時の開門の際に、開門前から並んだ新人議員たちの列の様子が報じられることは恒例になっているが、これに加わる義務もない。また支援者との交流を優先するべきか、それとも政務や党務を実直にこなすのか――どちらがいいとか悪いといった話ではない。実際、同じ初当選を飾ったタレント議員でも、八幡と森下両議員を取り巻く初登院日の光景は大きく異なっていた。

 対照的な初登院日を終えた二人の新人議員だが、これからは「国会議員は売れなくなった芸能人の仕事じゃない」とか「タレントが遊びの延長線でやれるような仕事ではない」といった批判を受ける場面は増えるだろう。そうした批判を真摯に受け止めつつも、初心を忘れずにこれまで通りに実直な活動を続けてもらいたい。

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