国際情報
なぜ日本人はトランプを見誤ってしまうのか

【手嶋龍一氏が警鐘】トランプ政権での日米関係はどうなるのか 石破茂首相が構想する「アジア版NATO」と「日米地位協定の改定」に浮上する“真のリスク”

トランプ政権の出現で立ち上がる“真のリスク”を手嶋龍一氏が分析

トランプ政権の出現で立ち上がる“真のリスク”を手嶋龍一氏が分析

 2024年の米大統領選を制したトランプ。日本では新聞・テレビでは“大接戦”と報道していたが、それでは圧勝をもたらした政治力学が理解できない。“トランプ氏圧勝”を見越していた外交ジャーナリストの手嶋龍一氏が、今後の日米関係について分析する。

 * * *
 日米を取り巻く安全保障環境は戦後最大の危局にある。2022年2月にウクライナで戦争が始まり、“ネタニヤフの戦争”も新たな中東戦争に拡大する危機を孕む。台湾海峡や朝鮮半島でも有事の足音が近づいている。

 トランプ氏はウクライナ戦争を「自分なら24時間以内に終わらせてみせる」と豪語したが、トランプ流の外交・安保には具体策が見当たらない。

 そんな異形の大統領と向き合う石破総理は安全保障のプロを自任するが、プラモデル愛好家のように軍事技術には詳しいが大局観には欠けている。

 石破氏の持論は「アジア版NATO(北大西洋条約機構)」構想だ。地域の同志国が攻撃を受けた際に共同で対処する安保の枠組みだ。この石破構想は盟主米国の地位を脅かし、強い抵抗を受けると官僚は懸念している。

 だが、トランプ政権の出現で立ち上がる真のリスクは別にある。新政権の切れ者がこの構想を逆手に取り、台湾と朝鮮半島の有事で日本に主力を担わせてはと進言する可能性はゼロではない。

 そもそもトランプ氏は、日本の安保のためになぜ米国の若者の命と税金を注ぎ込むのかと考えてきた。“現代の孤立主義者”トランプ氏は、石破構想を奇貨として、東アジア安保でのプレゼンスを減じ、更なる負担増を日本に求めるだろう。

 石破氏のいまひとつの持論である「日米地位協定の改定」も、標的にされるリスクを孕んでいる。

関連キーワード

関連記事

トピックス

まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
生徒のスマホ使用を注意しても……(写真提供/イメージマート)
《教員の性犯罪事件続発》過去に教員による盗撮事件あった高校で「教員への態度が明らかに変わった」 スマホ使用の注意に生徒から「先生、盗撮しないで」
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《ロマンス詐欺だけじゃない》減らない“セレブ詐欺”、ターゲットは独り身の年配男性 セレブ女性と会って“いい思い”をして5万円もらえるが…性的欲求を利用した驚くべき手口 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”とは(左/YouTubeより、右/時事通信フォト)
《芸舞妓を自宅前までつきまとって動画を回して…》京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”「防犯ブザーを携帯する人も」複数の被害報告
NEWSポストセブン
由莉は愛子さまの自然体の笑顔を引き出していた(2021年11月、東京・千代田区/宮内庁提供)
愛子さま、愛犬「由莉」との別れ 7才から連れ添った“妹のような存在は登校困難時の良きサポート役、セラピー犬として小児病棟でも活動
女性セブン
インフルエンサーのアニー・ナイト(Instagramより)
海外の20代女性インフルエンサー「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画で8600万円ゲット…ついに夢のマイホームを購入
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
『帰れマンデー presents 全国大衆食堂グランプリ 豪華2時間SP』が月曜ではなく日曜に放送される(番組公式HPより)
番組表に異変?『帰れマンデー』『どうなの会』『バス旅』…曜日をまたいで“越境放送”が相次ぐ背景 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン