国内
斎藤応援団に密着1か月

「立花さんのYouTubeでテレビのウソがわかった」「メディアは一切信用しない」兵庫県知事選、斎藤元彦氏の応援団に“1か月密着取材” 見えてきた勝利の背景

阪神西宮駅前の演説もすさまじい人だかりだった(11月4日)

阪神西宮駅前の演説もすさまじい人だかりだった(11月4日)

 斎藤元彦・兵庫県知事への熱狂的支持は、“日本版トランプ現象”なのではないか。かつて米大統領選でトランプ陣営の選挙ボランティアとして潜入取材したジャーナリスト・横田増生氏が1か月間、支持者に密着した。【前後編の前編。文中敬称略、年齢は取材当時】

ネットで“真実”に覚醒

 マスコミが午後8時に当選確実を打つと、斎藤元彦事務所前に詰めかけた群衆からは「やったぞー!」、「当確だ!」という声とともに、「サイトゥ! サイトゥ! サイトゥ!」というコールが湧き起こった。支援者の中には、感極まって涙ぐむ人もいた。まさかの、“ゼロ打ち”に支持者は大いに沸いた。

 斎藤コールの間に、「マスコミの負けや!」、「(マスコミは斎藤に)謝れ!」という声も挟まった。「マスコミは、ざまあみろだ!」と口にした50代の男性と一緒にいた女性は、スマホで「NHKから国民を守る党」の党首で、今回の知事選に斎藤を応援するために立候補した立花孝志の動画を食い入るように見つめていた。

 斎藤が勝利宣言をしたのは午後10時前のこと。支持者たちは、スマホを高く掲げ、この歴史的瞬間を動画や写真で記録しようとしていた。その様子は、10日ほど前にトランプが勝利宣言した時の光景と瓜二つだった。

 斎藤支持者が抱く既存のメディアに対する敵愾心は、私がアメリカ大統領選挙を取材した折に接した“トランプ信者”と酷似していた。

 トランプが2020年の選挙で負けた後も、「トランプの勝利を110%信じる」と言っていたミシガン州の50代の男性は、「この選挙は民主党と中国共産党によって盗まれたんだ。両者がグルになって、アメリカの行く手を阻んでいるのは明らかだ」と主張した。どこでそうした情報を得たのか、と訊けば、「YouTubeやFacebookを探せば、いくらでも情報は見つかる」と答えた。彼にとって、トランプを貶める報道をする新聞やテレビは、「フェイクニュース」でしかなかった。

 そうしたパラレルワールドが、日本でも展開されるのか見極めたい。そう思い、選挙戦の前から神戸に入り、投開票日まで斎藤支持者を追いかけた。

 私が斎藤にインタビューするため事務所を訪れたのは、告示日の数日前。為書きや胡蝶蘭といった選挙事務所につきものの装飾品は一切なく、折り畳みの事務机とパイプ椅子があるだけの殺風景な事務所で、斎藤と一対一で向き合った。その時点で、斎藤の勝利を予測できたものは一人もいなかったはずだ。

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン