中山さんからスタッフへ送った手作りの手紙
「台本3ページにわたる、彼女だけの長いセリフのシーンがあったんです。兄役の浜ちゃんへの秘めた想いを打ち明けるとても大事な場面でした。でも彼女が話しかける相手は役者ではなく猫なんですよ。だから、もし猫が途中で動いたり鳴いてしまうとせっかくの長ゼリフがまたやり直しですから、絶対に一発で決めたかったんです。
私の方が本番前からピリピリしていたのを思い出します。でもやっぱり、動物ですからね、案の定セリフの途中で猫が何度も動いちゃったんですよ」
中山さんに「申し訳ない」と感じた横井氏が恐る恐る彼女のほうを見た時だった。
「ケロッとしているんです。猫が原因で長いシーンを撮り直しになったので、当時の彼女のキャリアなら、イラッとした感情が顔に出たりしてもおかしくありません。