安倍晋三・元首相はプーチン大統領をどう見ていたのか(時事通信フォト)

故・安倍晋三元首相(時事通信フォト)

会合に呼ばれなくなった

 渡辺氏は故・安倍晋三元首相の「政治の師」だったことでも知られる。2人は頻繁に会談を重ね、安倍政権時代の2017年5月3日、読売新聞は「憲法改正 20年施行目標 9条に自衛隊明記」の大見出しで安倍氏のインタビューを掲載した。安倍氏はそのなかで改憲の具体的内容に踏み込み、国会で質問されると、「自民党総裁としての考え方は相当詳しく読売新聞に書いてありますから、ぜひそれを熟読していただいてもいいだろう」と答弁した。

「安倍さんの政治方針は、渡辺さんと一致していたというのは、間違いないでしょう。ただ安倍さんは渡辺さんを怖がっていたところがあったようで、あまり直接の交流はないと思います。安倍さんも、渡辺さんに対して、怖くて話せなかったんじゃないか。

 しかし、憲法改正について考えは同じだったし、地位協定に関しても安倍さんは撤廃を望んでいたと思う。ただ、地位協定撤廃を唱えれば、すぐに米国から潰されるので、手を出せなかったんでしょう」

 渡辺氏がかかわった政界工作の中で、とくに衝撃を与えたのが福田康夫政権時代の自民党と民主党の大連立構想だ。実現はしなかったが、福田首相と当時の民主党代表・小沢一郎氏の間を仲介し、小沢氏に連立を持ちかけたのは渡辺氏だった。

「これも根本は同じです。日本を米国と対等にするため。そのためには日本の政治が強くなければならない。あの時は自民党も弱っており、日米関係でも日本の発言力も弱っていった。それではまずい。だから大連立で日本の政権を安定化させ、日米関係も対等にさせる。大連立となれば、憲法改正にも一歩近づきます」
 
 渡辺氏は政治評論家などを集めて「山里会」と呼ばれる勉強会を主宰。言論界に影響力を及ぼすと同時に、政治家にとっては「山里会」にゲストで呼ばれることが、渡辺氏に“一人前”と認められるための登竜門とされていたが、田原氏は批判的だ。

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