スポーツ

《蛯名正義氏が分析》日本馬はいかにして「世界一」になったのか その背景にある馬体やスピードの進化、調教やジョッキーのトレーニングの向上、そして多くの競馬ファン

日本馬が強くなった背景を蛯名正義氏が分析

日本馬が強くなった背景を蛯名正義氏が分析

 1987年の騎手デビューから34年間にわたり国内外で活躍した名手・蛯名正義氏は、2022年3月から調教師として活動中だ。蛯名氏の週刊ポスト連載『エビショー厩舎』から、日本馬が強くなっていった“蹄跡”についてお届けする。

 * * *
 有馬記念も終わって、世間はもう正月を待つばかりといったところでしょうが、中央競馬は12月28日(土)まであるし、年明けは1月5日(日)から始まるので、普段の週とほとんど変わらないですね。

 2024年の秋、JRA70周年を記念しての東京国立博物館での特別展示は「世界一までの蹄跡」というタイトルでした。イクイノックスが国際競馬統括機関連盟発表の2023年のベストレースホースとなり、彼が勝ったジャパンカップがベストレースに選ばれたからです。

 近年の日本馬の海外での活躍はご存じの通り。僕が初めてフジヤマケンザンで香港のレースを勝ったのが1995年。日本人ジョッキーの騎乗で日本調教馬が海外のレースで勝ったのはこれが初めてだったそうです。当時のことを思えば隔世の感があります。2024年も延べ100頭以上の日本馬が海外レースに出走、「GIを一つも勝てなかった」ことが話題になるほど、活躍するのが当たり前のようになったんですから。

 目に見えるところでいえば、馬体は大きくなりました。かつては300キロ台も数多くいたし、逆に500キロを超えているような馬にはめったにお目にかからなかった。大きければ強いということでもなかったけれど、小さな馬は乗りづらさがありましたし、車と同じで大きければ走っているときの安定感はあります。

 日本馬の持ち味はなんといってもスピード。イクイノックスは2023年の天皇賞(秋)を1分55秒2で走りましたが、昔は1分57秒台で走る馬さえいませんでした。マイルGIだって30年ほど前の勝ち時計は1分33秒台でしたが、今それではとても勝ち負けにならないでしょう。

 日本馬が強くなった背景にあるのはやはり血統。僕がデビューした頃は、サラ系といって血統がはっきり分からない馬や海外ではあまりニーズがないような種牡馬が多かったのかもしれませんね。今考えれば日本ではまだまだ競馬という競技自体が認知されていなくて、社会的に成功した人が馬主になって競馬を楽しむというようなことがあまりなかったのでしょう。

関連キーワード

関連記事

トピックス

「ビッグダディ」こと林下清志さん(60)
《多産DVを語ったビッグダディ》「子どもができたら勝手に堕ろすんじゃないぞ」4男6女の父として子供たちに厳しく言い聞かせた理由
NEWSポストセブン
女児盗撮の疑いで逮捕の小瀬村史也容疑者(37)。新たに”わいせつ行為”の余罪が明らかになった
「よくタブレットで子どもを撮っていた」不同意わいせつ行為で再逮捕の小瀬村史也容疑者が“盗撮し放題だったワケ” 保護者は「『(被害者は)わからない』の一点張りで…」
NEWSポストセブン
成年式を控える悠仁さまと第1子を出産したばかりの眞子さん(写真・右/JMPA)
眞子さん、悠仁さまの成年式を欠席か いまなお秋篠宮家との断絶は根深く、連絡を取るのは佳子さまのみ “晴れの日に水を差す事態”への懸念も
女性セブン
ボニー・ブルーとの2ショット(インスタグラムより)
《タダで行為できます》金髪インフルエンサー(26)と関係を持った18歳青年「僕は楽しんだから、被害者になったわけじゃない」 “捕食者”との批判殺到に反論
NEWSポストセブン
2人は結婚3年目
《長髪62歳イケオジ夫との初夫婦姿》45歳の女優・ともさかりえ、3度目の結婚生活はハッピー 2度の離婚を乗り越えた現在
NEWSポストセブン
オーナーが出入りしていた店に貼られていた紙
「高級外車に乗り込んで…」岐阜・池田温泉旅館から“夜逃げ”したオーナーが直撃取材に見せた「怒りの表情」 委託していた町の職員も「現在もまだ旅館に入れない」と嘆き
NEWSポストセブン
記者の顔以外の一面を明かしてくれた川中さん
「夢はジャーナリストか政治家」政治スクープをすっぱ抜いた中学生記者・川中だいじさん(14)が出馬した生徒会長選挙で戦った「ものすごいライバル候補」と「人心を掴んだパフォーマンス」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博内の『景福宮』での重大な疑惑が発覚した(時事通信)
《万博店舗スタッフが告発》人気韓国料理店で“すっぱい匂いのチャプチェ”提供か…料理長が書いた「始末書」が存在、運営会社は「食品衛生上の問題はなかった」「異常な臭いはなかった」と反論
NEWSポストセブン
63歳で初めて人生を振り返った俳優・小沢仁志さん
《63歳で初めて人生を振り返った俳優・小沢仁志》不良役演じた『ビー・バップ』『スクール☆ウォーズ』で激変した人生「自分の限界を超える快感を得ちまった」
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがニューシングル『Letter』をリリース(写真・左/AFLO、写真・右/Xより)
羽生結弦の元妻のバイオリニスト・末延麻裕子さん、“因縁の8月”にニューシングル発売 羽生にとっては“消せない影”となるのか 
女性セブン
雅子さまのご静養に同行する愛子さま(2025年8月、静岡県下田市。撮影/JMPA) 
愛子さま、雅子さまのご静養にすべて同行する“熱情” そばに寄り添う“幼なじみ”は大手造船会社のご子息、両陛下からも全幅の信頼 
女性セブン
猫愛に溢れるマルタでは、動物保護団体や市民による抗議活動が続いているという(左・時事通信フォト)
《深夜に猫地面にたたきつける動画》マルタで“猫殺し”容疑で逮捕の慶應卒エリート・オカムラサトシ容疑者の凶行と、マルタ国民の怒号「恥を知れ」「国外に追放せよ」
NEWSポストセブン