三船美佳さんの父で俳優の三船敏郎さん

“世界のミフネ”と呼ばれた俳優・三船敏郎さん

「父・三船敏郎」との思い出

 私のデビューは14歳のとき。「明治ブルガリアヨーグルト」のCMで、原辰徳さん(66、現・読売巨人軍特別球団顧問)と共演させていただきました。当時の私は、学校でのいじめに悩み、将来の夢や希望を持てずにいました。ストレスで身体がこわばっていたのか、手足が冷たく末端冷え性で。そんな私が突然、大人のプロフェッショナルの集まるCM撮影の現場でメイクや髪をセットしていただき、カメラや照明の前に立ち、「じゃあ本番いきます!」ってカウントダウンが始まって……当時はフィルム撮影だったので、カラカラとフィルムが回る音を聞いた瞬間、頭に稲妻が走るような衝撃を受けたんです。

 全身に鳥肌がたって、手足のつま先までビーンと血がめぐって。初めて、俳優・三船敏郎のDNAを自分の中に感じた瞬間でした。そのとき、こういう現場で作品を作るお仕事を続けていきたい、と思ったんです。その初心を忘れまい、とやってきました。

 以前は女優のお仕事もいろいろさせていただいたんですよ。15歳で初主演した映画『友情 Friendship』では日本アカデミー賞新人俳優賞もいただきました。父が“世界のミフネ”といわれた三船敏郎ですから期待値が高いだろう、と最初はプレッシャーもありました。ところが、私は娘なので、あまり比較はされなかったんです。もし私が父と同性の息子だったら大変だったでしょう。私はどの現場でも、みなさんが私の大好きな父との撮影の思い出や、私の知らない父の顔を語ってくださり、私を温かい目で育ててくださったと感じています。本当に私は幸せ者です。

 それぞれの方にそれぞれの三船敏郎があるように、私にとって父は、いつも目尻を垂れた、本当に優しいパパでした。大声で怒られたことはたった一度だけ。どこかのレストランに入ったとき、私がスープを飲んだら「音をたてて飲むものじゃない!」って。レストラン中がシーンと静まり、私は目を見開いて固まってしまって……。そうしたら、父はばつが悪かったのか、照れ隠しなのか、慌てておどけたようにズルズル音をたててスープをすすって、場を和ませてくれたんですよ(笑)。

関連キーワード

関連記事

トピックス

谷本容疑者の勤務先の社長(右・共同通信)
「面接で『(前科は)ありません』と……」「“虚偽の履歴書”だった」谷本将志容疑者の勤務先社長の怒り「夏季休暇後に連絡が取れなくなっていた」【神戸・24歳女性刺殺事件】
NEWSポストセブン
(写真/共同通信)
《神戸マンション刺殺》逮捕の“金髪メッシュ男”の危なすぎる正体、大手損害保険会社員・片山恵さん(24)の親族は「見当がまったくつかない」
NEWSポストセブン
列車の冷房送風口下は取り合い(写真提供/イメージマート)
《クーラーの温度設定で意見が真っ二つ》電車内で「寒暖差で体調崩すので弱冷房車」派がいる一方で、”送風口下の取り合い”を続ける汗かき男性は「なぜ”強冷房車”がないのか」と求める
NEWSポストセブン
アメリカの女子プロテニス、サーシャ・ヴィッカリー選手(時事通信フォト)
《大坂なおみとも対戦》米・現役女子プロテニス選手、成人向けSNSで過激コンテンツを販売して海外メディアが騒然…「今まで稼いだ中で一番楽に稼げるお金」
NEWSポストセブン
ジャスティン・ビーバーの“なりすまし”が高級クラブでジャックし出禁となった(X/Instagramより)
《あまりのそっくりぶりに永久出禁》ジャスティン・ビーバー(31)の“なりすまし”が高級クラブを4分27秒ジャックの顛末
NEWSポストセブン
愛用するサメリュック
《『ドッキリGP』で7か国語を披露》“ピュアすぎる”と話題の元フィギュア日本代表・高橋成美の過酷すぎる育成時代「ハードな筋トレで身長は低いまま、生理も26歳までこず」
NEWSポストセブン
「舌出し失神KO勝ち」から42年後の真実(撮影=木村盛綱/AFLO)
【追悼ハルク・ホーガン】無名のミュージシャンが「プロレスラーになりたい」と長州力を訪問 最大の転機となったアントニオ猪木との出会い
週刊ポスト
野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘に関する訴訟があった(共同通信)
「オオタニは代理人を盾に…」黒塗りの訴状に記された“大谷翔平ビジネスのリアル”…ハワイ25億円別荘の訴訟騒動、前々からあった“不吉な予兆”
NEWSポストセブン
話題を集めた佳子さま着用の水玉ワンピース(写真/共同通信社)
《夏らしくてとても爽やかとSNSで絶賛》佳子さま“何年も同じ水玉ワンピースを着回し”で体現する「皇室の伝統的な精神」
週刊ポスト
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
《駆除個体は名物熊“岩尾別の母さん”》地元で評判の「大人しいクマ」が人を襲ったワケ「現場は“アリの巣が沢山出来る”ヒヤリハット地点だった」【羅臼岳ヒグマ死亡事故】
NEWSポストセブン
真美子さんが信頼を寄せる大谷翔平の代理人・ネズ・バレロ氏(時事通信)
《“訴訟でモヤモヤ”の真美子さん》スゴ腕代理人・バレロ氏に寄せる“全幅の信頼”「スイートルームにも家族で同伴」【大谷翔平のハワイ別荘訴訟騒動】
NEWSポストセブン