奥さまは料理の専門家だった
9歳上の料理の専門家の夫人に感謝
そんな威張りたい放題だった私がようやく反省したのが、NHKを辞めたとき。TBSの朝7時から放送の情報番組『朝のホットライン』に出演するため、朝の3時過ぎに起き、5時過ぎにはテレビ局に入らなくてはいけませんでした。まだ暗い時間です。そんな早い時間に、私が起きてキッチンに降りて行きますと、ちゃんと明かりがついていて、寒いときは部屋を暖め、家内はお茶や私の好きなフルーツを用意してくれているんです。そのとき初めて、「家内も大変なんだな」、「私の仕事だって夫婦共同作業なんだな」と、気づきました。それから少しずついい夫に変わっていった、というのが真実の姿かな、と思います。
家内との出会いは、私がNHKに入り東京で2カ月半の新人研修を終える頃です。NHKの現役アナウンサーに感謝の宴会を開かなくてはいけない、というので、場所を探していて料理の専門家だった家内と知り合いました。その後すぐに私は鹿児島へ赴任したわけですが、家内は見送りにきてくれて、そのとき手紙を渡されまして……それが始まりですね。翌1968年、彼女を鹿児島へ呼び寄せて結婚しました。
家内は実は9歳年上。ですから、89歳になります。一昨年の秋に変形性膝関節症を発症し、去年手術を受けました。今も走り回ることはできませんが、しっかり動けております。ですので、夫婦ともに元気ですね。夫婦ゲンカ? ええ、あまり大きなケンカはありません。言い合いをしても、わりとすぐに仲直りして仲良くやっておりますよ。
これからは、もっと家内孝行をしなければ、と思っているところです。
(了。第1回から読む)
取材・文/中野裕子(ジャーナリスト) 撮影/山口比佐夫
