国民民主党の浜口誠政調会長。自賠責保険料繰戻しについて繰り返し求め、取り組みを続けている(時事通信フォト)
6000億円はどこへ
財務省が返さないので値上げ、国交省は「被害者支援の充実」としたが6000億円はどこに行ったのか。まさに財務省による「消えた6000億円」であり、遠く未来までの「借りパク」である。
この件に対し抗議してきたJAF(日本自動車連盟)は「踏み倒し」を危惧していた。交通事故被害者団体も抗議した。なぜなら自賠責保険の積立金はこのままでは20年もたずに底をついてしまう可能性がある。
あくまで可能性の話だが、だからといって財務省が借りパクして構わないという話にもならないし、微々たる額の値上げとはいえユーザーが穴埋めのために払う道理もない。
1994年に当時の与党であった日本新党の細川護熙連立政権、新生党の藤井裕久大蔵大臣と社会党の伊藤茂運輸大臣の合意が今回の発端である。財務省は大蔵省で国交省は運輸省の時代、すでに担当者の多くは退官しているし、両大臣もすでに故人である。
1998年のノーパンしゃぶしゃぶ事件などを契機に大蔵省解体、2000年に完済されるはずが自民党、小泉純一郎内閣において谷垣禎一財務大臣と石原伸晃国土交通大臣が完済しないことで合意、さらに2010年、民主党菅直人内閣において野田佳彦財務相と馬淵澄夫国交相も延期した上で2017年に完済することで合意、しかし冒頭でも書いたように第2次安倍内閣において麻生財務省の「返還拒否」となった。歴史を見てもわかる通り「オールド政党」の大半はこの財務省の消えた6000億円に加担している。
先の国民民主党、浜口議員は2017年にも(当時は民進党・新緑風会)麻生財務大臣にこう訴えている。
〈六千百六十九億円、これはまさに自動車ユーザーの皆さんが積み立てたものでありますし、特別会見から一般会計の方に貸出しているものですので、この点をしっかりとご認識していただいて、残りの期間での誤りのない、ユーザーの立場あるいは被害者、その御家族の皆さんの立場に立って御対応いただくことを最後に強くお願い申し上げておきたいというふうに思っております〉
※平成29年12月5日・財政金融委員会
