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大谷翔平選手(30)が「お金」「タイトル」「記録」よりも大事にする“あまりに純粋な欲求”《唯一無二の一流アスリートから学ぶ“幸せ収集能力”》

異次元の活躍を続ける大谷(写真/AFLO)

異次元の活躍を続ける大谷(写真/AFLO)

 今年でメジャー8年目、ドジャースでは2年目のシーズンを迎えた大谷翔平選手(30)。昨シーズンは“異次元の活躍”で、記録ずくめだった。

「50本塁打」「50盗塁」を達成。指名打者(DH)専任の選手としてMVPを受賞。いずれもメジャー史上初。だが、あくまで大谷選手は、「記録は後からついてくる」という姿勢に徹している。そんな大谷選手といえば、野球への熱心さとは裏腹に、お金に無頓着なエピソードに事欠かない。

 2023年、大谷翔平投手がドジャースと結んだ10年で約1050億円の巨額契約。その約97%にあたる約1020億円はなんと“後払い”だった。北海道日本ハムファイターズ時代には、スター選手にもかかわらず、毎月10万円のお小遣い生活を送りながら貯金が貯まるばかり。水原一平元通訳の巨額窃盗事件でも、約26億円が銀行口座から不正送金されていたことに気づかなかったことは大きな驚きを呼んだ。

 彼が最も大切にしていることは何か──。

 臨床スポーツ心理学者の児玉光雄氏が、「パフォーマンス心理学」の観点から、大谷選手の思考・行動パターンを分析し、仕事への生かし方を綴った『大谷翔平に学ぶポジティブ思考で運命を拓く力』(双葉社)。本書より、大谷選手が一番大事にしていることをお届けする。(同書より一部抜粋して再構成)【全3回の第2回。第1回を読む】

 * * *
 大谷選手の二刀流については、かつては「無謀な挑戦だ」「投打のいずれかに専念すべきだ」といった否定的な意見が多々ありました。

 こうした声に対し、大谷選手は次のように語っています。

「二刀流に限らず、いろんな人に『できない』と言われた方が、できた時の評価が上がりますよね。不可能だと思われていればいるほど、それを成功させたら自分に返ってくる達成感は大きくなります。僕はそれで『やってやろう』というチャレンジ精神が出てくるタイプです」(CM「セールスフォース」)

 大谷選手は、「できない」と言われるほど燃えるタイプです。投打のいずれかがスランプに陥っても、気持ちがブレることはありませんでした。高校時代から貫いている、「二刀流という生き方」を変えるつもりはなかったのです。

 精神科医の樺沢紫苑さんは、著作の中でこう記しています。

「幸せになるのに、あなたの人生を変える必要などないのです。『幸せ収集能力』を高めることさえできれば、今までと同じ毎日を過ごしても、『楽しい』出来事の収量が増えて、感じ方も鋭敏になってくる。『苦しい』出来事はスルーできるようになって、日々ストレスも減っていく」(『精神科医が見つけた 3つの幸福 最新科学から最高の人生をつくる方法』樺沢紫苑〈飛鳥新社〉)

 毎日、楽しいことばかり、などという人生は存在しません。ただし、人生のどこに注目するかで感じ方はガラッと変わってきます。ネガティブな出来事に過剰反応する人は不幸感が増大し、ポジティブな出来事に注目して過ごす人は、どんどん幸福感が高まっていくのです。

「主観的幸福感を決定する要因の重要度」、つまり、人は何で幸福感を得られるかを調べたある調査によると、「お金」が幸福に寄与する度合いは意外に低く、下から2番目でした。なぜこんなに評価が低いのでしょうか。

 お金や肩書、名誉を獲得したときに脳内で発生するドーパミン(幸せホルモン)を、私は「悪玉ドーパミン」と名付けています。このドーパミンによって得られる幸福感は長続きしません。すぐに「もっとほしい」「これでは足りない」となって、いつまでたっても満足できないのです。

 一方、目の前の好きなこと、得意なことに没頭したときに発生するのが「善玉ドーパミン」です。「悪玉ドーパミン」との決定的な違いは、幸福感が長続きするという点にあります。

 よく大谷選手はお金に執着がないと言われます。それはなぜかというと、本当の幸福をもたらしてくれるのは「善玉ドーパミン」であることを知っているからだと、私は思っています。

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