ライフ

フジテレビが今やるべきは、新番組『怒っていいとも!』を作ることではないか

中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)

中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)

 驚きや失望、怒りが綯い交ぜになった騒動だった。コラムニストの石原壮一郎氏が考察した。

 * * *
 中居正広氏の問題が発端となって、フジテレビが袋叩きにあっています。このほど400ページ近くに及ぶ第三者委員会の調査報告書が公表され、詳細な経緯が明らかになりました。その衝撃的な内容を報道などで知り、あらためて「なんてひどい話だ!」「フジテレビ、許さん!」と怒りに震えた方も少なくないでしょう。

 フジテレビに限りませんが、いったん「悪者」と認定されると、あちこちから「こんなこともやっていた」「あんなこともあるらしい」というウソかホントかわからない話が、次々に出てきます。そしてまた直接は何の関係もないやじ馬に、存分に腹を立てたり遠慮なく非難したりという快感を味わわせてくれます。

 正義感に満ちあふれていて、とにかく怒りたい、とにかく批判したい、とにかく俺様の持論を語りたいエネルギーとヒマを持ち合わせている方にとって、今のフジテレビは、片時も目が離せない大切な存在と言えるでしょう。そのうち別のターゲットを見つけることになるんでしょうけど、もうしばらくは役に立ってくれそうですね。

 もちろん、フジテレビの肩を持つ気は毛頭ありません。関係者でも何でもない私が言うのも僭越ですけど、今回のことやこれまでのことを十分に反省して、新たなスタートをを切ってほしいと願っています。そしてまた、かつてのように見るものをワクワクさせてくれることを期待しています。ただ、テレビというメディア自体の役割や存在感が大きく変わってしまっているだけに、険しい道のりだとは思いますけど。

『笑っていいとも!』は世の中にどんな刷り込みを与えたか

 中年以上のみなさんは覚えがあるかと存じますが、80年代のフジテレビは光り輝いていました。「楽しくなければテレビじゃない」というキャッチフレーズの元、バラエティもドラマも次々と人気番組を生み出して、1982年から93年まで12年連続で「視聴率3冠」を達成します。そして、バブルに浮き立つ世の中に「面白いことこそが正義」「楽しくなければ人生じゃない」という価値観を広めました。

 そういうノリを引きずっていたことが、今回のような問題を引き起こす一因となったのではないかと言えば、きっとそのとおりです。ただ、戦後の混乱を乗り越えて、やっと経済的な豊かさを手にした頃の日本にとって、人生を楽しもう、何でも面白がる気持ちを持とうという呼びかけは、歴史的に見て大きな意味や意義があったと言えるでしょう。

関連キーワード

関連記事

トピックス

谷本容疑者の勤務先の社長(右・共同通信)
「面接で『(前科は)ありません』と……」「“虚偽の履歴書”だった」谷本将志容疑者の勤務先社長の怒り「夏季休暇後に連絡が取れなくなっていた」【神戸・24歳女性刺殺事件】
NEWSポストセブン
(写真/共同通信)
《神戸マンション刺殺》逮捕の“金髪メッシュ男”の危なすぎる正体、大手損害保険会社員・片山恵さん(24)の親族は「見当がまったくつかない」
NEWSポストセブン
列車の冷房送風口下は取り合い(写真提供/イメージマート)
《クーラーの温度設定で意見が真っ二つ》電車内で「寒暖差で体調崩すので弱冷房車」派がいる一方で、”送風口下の取り合い”を続ける汗かき男性は「なぜ”強冷房車”がないのか」と求める
NEWSポストセブン
アメリカの女子プロテニス、サーシャ・ヴィッカリー選手(時事通信フォト)
《大坂なおみとも対戦》米・現役女子プロテニス選手、成人向けSNSで過激コンテンツを販売して海外メディアが騒然…「今まで稼いだ中で一番楽に稼げるお金」
NEWSポストセブン
ジャスティン・ビーバーの“なりすまし”が高級クラブでジャックし出禁となった(X/Instagramより)
《あまりのそっくりぶりに永久出禁》ジャスティン・ビーバー(31)の“なりすまし”が高級クラブを4分27秒ジャックの顛末
NEWSポストセブン
愛用するサメリュック
《『ドッキリGP』で7か国語を披露》“ピュアすぎる”と話題の元フィギュア日本代表・高橋成美の過酷すぎる育成時代「ハードな筋トレで身長は低いまま、生理も26歳までこず」
NEWSポストセブン
「舌出し失神KO勝ち」から42年後の真実(撮影=木村盛綱/AFLO)
【追悼ハルク・ホーガン】無名のミュージシャンが「プロレスラーになりたい」と長州力を訪問 最大の転機となったアントニオ猪木との出会い
週刊ポスト
野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘に関する訴訟があった(共同通信)
「オオタニは代理人を盾に…」黒塗りの訴状に記された“大谷翔平ビジネスのリアル”…ハワイ25億円別荘の訴訟騒動、前々からあった“不吉な予兆”
NEWSポストセブン
話題を集めた佳子さま着用の水玉ワンピース(写真/共同通信社)
《夏らしくてとても爽やかとSNSで絶賛》佳子さま“何年も同じ水玉ワンピースを着回し”で体現する「皇室の伝統的な精神」
週刊ポスト
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
《駆除個体は名物熊“岩尾別の母さん”》地元で評判の「大人しいクマ」が人を襲ったワケ「現場は“アリの巣が沢山出来る”ヒヤリハット地点だった」【羅臼岳ヒグマ死亡事故】
NEWSポストセブン
真美子さんが信頼を寄せる大谷翔平の代理人・ネズ・バレロ氏(時事通信)
《“訴訟でモヤモヤ”の真美子さん》スゴ腕代理人・バレロ氏に寄せる“全幅の信頼”「スイートルームにも家族で同伴」【大谷翔平のハワイ別荘訴訟騒動】
NEWSポストセブン