芸能

なぜ11年ぶり続編『続・続・最後から二番目の恋』は好発進できたのか 小泉今日子と中井貴一、月9ドラマ30年ぶりW主演の“因縁と信頼” 

『続・続・最後から二番目の恋』でW主演を務める中井貴一と小泉今日子

『続・続・最後から二番目の恋』でW主演を務める中井貴一と小泉今日子

 フジテレビでスタートしたドラマ『続・続・最後から二番目の恋』が好評だ。人気作品の“続々編”が、“月9ドラマ”として復活した格好だ。なぜ好発進できたのか? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。 

 * * *
 14日に第1話が放送されたドラマ『続・続・最後から二番目の恋』(フジテレビ系)が視聴率・評判ともに最高のスタートを切りました。記事やSNSのコメント数と好意的な内容を見る限り、「今春トップの話題作」と言ってもいいでしょう。 

 同作は2012年冬に第1弾『最後から二番目の恋』が放送され、続く2014年春に第2弾『続・最後から二番目の恋』を放送。これで完結と思われていただけに今回の「11年ぶりの続々編」、しかも「初の月9ドラマ枠に移動」も含め、異例中の異例と言っていいでしょう。 

「ドラマのシリーズ作は出オチのように右肩下がりの傾向がある」と言われる中、なぜ同作は変わらぬ支持を得ているのか。そして、なぜこれまでの木曜劇場(木曜22時台)から月9(月曜21時台)に移動したのか。いくつかの背景を掘り下げていきます。 

出演俳優が実年齢の役を演じ続ける 

 まず、なぜ11年の時を経ての続々編でも変わらぬ支持を得られるのか。 

 支持のベースとなっているのは、愛すべき登場人物たちによる楽しげな日常とシビアな人生観。楽しさと寂しさ、笑いと涙、優しさと毒、期待と現実……これらの両面を穏やかながらもリアルに描くことで視聴者の共感を誘っています。実際、続々編の第1話でも、吉野千明(小泉今日子)の上司と長倉和平(中井貴一)の同期が亡くなって葬儀に参列し、死について考えさせられるシーンがありました。 

 なかでも視聴者の称賛を集め、作品への支持を決定づけたのは、第1シリーズの最終話クライマックス。主人公・千明の「寂しくない大人なんていない。人生はいつか終わってしまうことに大人は気づいているから」「だからこそ寂しさを埋めるために恋をするのをやめよう。恋がなくたって素敵な人生は絶対にあるはずだ」「人生って自分の未来に恋することなのかもしれない。自分の未来に恋していればきっと楽しく生きていける」「もしこれから誰かと恋をするとしたら、それを“最後の恋”と思うのはやめよう。次の恋は“最後から二番目の恋”だ。その方が人生はファンキーだ」というモノローグで視聴者の心をグッとつかんだ感がありました。 

 そして同作が支持を集めるポイントとして重要なのが、主要キャストの全員がほぼ実年齢通りの人物を演じていること。第1シリーズを45歳でスタートした千明は13年後の続々編では59歳になっていますが、演じる小泉今日子さん自身も59歳であり、役と俳優が視聴者と同じように時を刻んでいるのです。 

 もう1人の主人公・和平は続々編で63歳になっていますが、演じる中井貴一さんも63歳。視聴者は登場人物と俳優の人生をオーバーラップさせられるため、彼らの生き方や言葉にリアリティを感じるのでしょう。だからこそ今春の続々編では、「アラ還になった2人がどんな立場と心境で日々を過ごしているのか」が見どころになります。 

 キャスティングという点では、「主役の2人だけでなく元子役まで、シリーズを通してほぼ変わらないこと」「なかでも坂口憲二さんが前シリーズ以来11年ぶりに連ドラ本格復帰すること」も特筆すべきポイントの1つ。続々編ではその上で「新たな恋の相手候補に三浦友和さん、石田ひかりさんを起用」するなど視聴者をがっかりさせず、飽きさせないスタッフの配慮が光ります。 

関連記事

トピックス

運転席に座る広末涼子容疑者
《事故後初の肉声》広末涼子、「ご心配をおかけしました」騒動を音声配信で謝罪 主婦業に励む近況伝える
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン
鶴保庸介氏の失言は和歌山選挙区の自民党候補・二階伸康氏にも逆風か
「二階一族を全滅させる戦い」との声も…鶴保庸介氏「運がいいことに能登で地震」発言も攻撃材料になる和歌山選挙区「一族郎党、根こそぎ潰す」戦国時代のような様相に
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏に「自民入りもあり得るか」聞いた
【国民民主・公認取り消しの余波】無所属・山尾志桜里氏 自民党の“後追い公認”めぐる記者の直撃に「アプローチはない。応援に来てほしいくらい」
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
《普通の大学生として過ごす等身大の姿》悠仁さまが筑波大キャンパス生活で選んだ“人気ブランドのシューズ”ロゴ入りでも気にせず着用
週刊ポスト
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
遠野なぎこさん(享年45)、3度の離婚を経て苦悩していた“パートナー探し”…それでも出会った「“ママ”でいられる存在」
NEWSポストセブン
レッドカーペットに登壇した大谷夫妻(時事通信フォト)
《産後“ファッション迷子期”を見事クリア》大谷翔平・真美子さん夫妻のレッドカーペットスタイルを専門家激賞「横顔も後ろ姿も流れるように美しいシルエット」【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 石破政権が全国自治体にバラ撒いた2000億円ほか
「週刊ポスト」本日発売! 石破政権が全国自治体にバラ撒いた2000億円ほか
NEWSポストセブン