戸郷翔征
江本:オレは怖くないけどな。
達川:広島戦(4月20日)で8回裏に坂本(誠志郎)が後頭部に死球を食らった時も凄かった。あわや乱闘騒ぎで、ベンチを一番に飛び出したのが藤川。広島のほうは新井(貴浩)の腰が引けていたが、藤川は星野(仙一)さんより凄い剣幕でしたよ。
江本:クロマティが殴って乱闘になった時、王(貞治)監督に詰め寄った星野監督みたいだったな。
達川:これには布石があって、前日の完封負け後に藤川が「野球になってない」と怒りのコメントをして選手に緊張感があった。二塁走者のサトテル(佐藤輝明)が猛ダッシュで輪の中に突っ込んできたからね。
江本:この試合でサトテルは4打数4安打2本塁打6打点でしょう。
達川:阪神が優勝したら、あの騒ぎで先頭に立って飛び出した藤川監督が功労者。あれから選手が打ち始めた。
(第3回へ続く)
【プロフィール】
江本孟紀(えもと・たけのり)/1947年、高知県生まれ。1971年に東映入団。1972年に南海に移籍しエースに。1976年に阪神に移籍し、1981年の引退後は参院議員、タレントとしても活躍。
中畑清(なかはた・きよし)/1954年、福島県生まれ。1976年に巨人入団。「絶好調男」として定着。引退後はDeNAの監督を務めた。現在は巨人OB会の会長を担う。
達川光男(たつかわ・みつお)/1955年、広島県生まれ。1978年、広島に入団し正捕手に。引退後は広島監督などを務め、ソフトバンクでヘッドコーチとして日本一を経験。
※週刊ポスト2025年5月23日号