党幹部らは学習会の名目で宴会を開いていたという
中国河南省で、習近平指導部が廉潔な政治を訴えて打ち出した「八項規定(8カ条の決まり)」の学習会の最中に、10人の中国共産党幹部が酒を飲むなどした結果、そのうちの1人がアルコールの過剰摂取で死亡していたことが明らかになった。幹部らは学習会の名目で宴会を開いており、党中央規律委員会は宴会に参加していた幹部10人を党の処分では最も重い党籍剥奪のほか、解雇や降格などの厳しい処分を下した。同委員会と国家監察委員会のホームページが伝えた。
同ホームページによると、河南省羅山県政法委員会は今月13日、「八項規定の学習会」の名目で、近隣の信陽市と羅山県の少なくとも9人の検察官らを招き、宴会を開催。宴会では度数が50度以上もある白酒(パイチュウ)を4本飲み干し、そのうち1人が急性アルコール中毒などで死亡したという。
参加者が死亡した幹部の家族に香典の名目で金を渡したことで、ことの次第が発覚。死亡した幹部の家族らが上部機関に訴え出たため、事件が明るみに出た。この結果、参加者は党籍はく奪などの処分を受けたほか、参加者の所属機関の上役も監督不行き届きなどで処分を受けている。
習近平指導部は全国人民代表大会(全人代、国会に当たる)が閉幕した後の3月中旬、「7月にかけて、八項規定の精神を全党で学ぶ」とする通知を出すとともに、党機関紙「人民日報」では3月下旬に3日間続けて、八項規定の重要性などに関する長文の論評を1面トップに掲載していた。しかし、地方幹部にとって中央の重要指示は「馬耳東風」で、「学習会」の名目で宴会を開く良い機会となってしまったようだ。
八項規定には「倹約を励行し廉潔な政治の決まりを厳守する」「接待を簡潔にする」などの内容で、「ぜいたく禁止令」として知られているが、今回の事件ではまったく逆の目的に利用されたことになる。