トイレ使用をめぐって揉めることも多い(写真提供/イメージマート)
「ストレス溜まっているのでしょうけど、こちらにぶつけられても困ります。もっとも、ずっとその理不尽をぶつけられ続けているのがコンビニ店員ですが」
苦笑しかないといった様子。ちなみに具体的にどんな「理不尽」と「怒り」があるのか。
「もうなんでも。品出ししていたらわざと邪魔だといった感じでぶつかってきて目を合わせてもそらすだけとか、袋はいりますかと聞けばいらないと怒り出すとか、お酒の年齢確認ボタンにキレて見りゃわかるだろ大人だろバカだろと怒鳴るとか、怒鳴らなくても舌打ちでボタン操作とか、割り箸やスプーンを入れれば要らねえよだし逆になんで割り箸もスプーンも入れねえんだよと怒りだすとか、床にマークしてあるレジで並ぶ場所と違うところから割り込んで来て知らねえよ忙しいんだよ早くしろとか、なぜトイレを貸せないのかとか……」
矢継ぎ早に出るカスハラ事例の嵐、あまりに多すぎて全部書ききれない。ちなみに都心のコンビニでは物理的な店舗の狭さで客用のトイレがなかったり、防犯上の問題から一般に解放してなかったりする。というかあえてトイレを解放しない、そうしたコンビニが増えているようにも思う。
「トイレ貸せ貸せないで怒る客は多いです。無理なものは無理だし張り紙だってしてあるのに言ってくる。で、キレる。先ほど挙げた理不尽の数々もそうですが、決してみなさんが思うような一部のやんちゃな若者や頑固な高齢者だけではなく現役世代のサラリーマン風の方々ばかりなんです。それが逆に怖くて、まして増えてる」
あくまで「増えてる」は彼の日常における業務による感覚だが、いわゆる「キレるサラリーマン」は電車内や駅構内の鉄板ネタだった。それがコンビニにまで侵食しているということか。
「以前からいましたけど、とにかく増えた。よくある『俺は客だ』というより、『店員なんて赤の他人にそれくらいいいだろ』って客がね」
なるほど面白い視点、いままでは「お客様は神さまです」の誤解や曲解による「俺は客だぞ」が知られてきたが、むしろ「他人なんかどうでもいい」という客のカスハラが増えているのではということか、金だけ今だけ自分だけの「自分だけ」がカスハラの根底にあるということか。