東京・新宿のネオン街
5月20日、「改正風俗営業法(風営法)」が衆院本会議で可決、成立した。6月下旬にも施行される。「悪質ホストクラブ問題」に端を発した今回の改正は、ホストクラブはもちろん、キャバクラなどナイトビジネスの経営者に大きな衝撃を与えた。これまでに3000件以上のトラブルを担当し、多くのナイトビジネス経営者を顧問弁護士として支える「グラディアトル法律事務所」代表弁護士・若林翔氏の著書『歌舞伎町弁護士』より風営法のポイントを一部抜粋・再構成して解説する。【前後編の後編。前編から読む】
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「接待」を伴うホストクラブ、キャバクラ、銀座などにあるクラブ、スナックなどのビジネスに必要な1号許可のカテゴリーについて、しばしば寄せられる相談がある。歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこととされている「接待の定義」に基づけば、ガールズバーやコンセプトカフェ(コンカフェ)、メイド喫茶などにも1号許可が必要で、風営法の規制によって営業時間も制限されるはず。にもかかわらず、そこら中にあるガールズバーやコンカフェはバリバリの深夜まで営業しているじゃないか、と。
まさに仰る通りである。法的な観点からみれば、ガールズバーやコンカフェ、メイド喫茶で、1号許可が必要な「接待」が行われているケースは少なくない。
深夜営業を行うガールズバーやコンカフェ、メイド喫茶は、風俗営業(接待飲食等営業)の1号許可を取得する代わりに、同じ風営法における別のカテゴリー「深夜酒類提供飲食店営業」の届出をしているケースが多い。
この「深夜酒類提供飲食店営業」は、午前0時から午前6時の時間帯に営業できない1号許可とは異なり、許可ではなく届出だけで、24時間いつでも「酒を含む飲食」を提供することができる。これらの店舗は「接待」をしない「深夜酒類提供飲食店営業」として営業しているのだ。キャバクラやホストクラブとは異なり、「接待」をしないバーや居酒屋と一緒だよ、という建前で営業をしている。