備蓄米は大人気
コメ問題へのアプローチ、ただストレスを溜めているだけではうまくない。コラムニストの石原壮一郎氏が考察した。
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「備蓄米」が熱い注目を集めています。今月頭からスーパーなどに並び始めましたが、発売初日はどこも大行列ができる大人気でした。もちろん安さは魅力的ですが、話のタネに食べてみたいというニーズも大きそうです。
今のタイミングなら、やっぱり不味かったとか意外に美味かったとか、絶好の持ちネタにできますね。モチ米じゃなくてうるち米だけど。こういうノンキなことを言うと、怒りっぽい人から「切実な人もいるのに無神経だ!」「面白がるなんて不謹慎だ!」といった非難のコメントをいただいてしまいそうです。コメだけに。……失礼いたしました。
それはさておき、日本に生まれ育った私たちにとって、ご飯は揺るぎない主食の王様です。だからこそ米の高騰は大問題なわけですが、一食分のご飯がいくらなのかは意識したことがありません。そして、主食の王様であるご飯は、ほかの主食系の食材(うどん、パスタ、そうめんなど)と比べて安いのか高いのかも、ちゃんと考えたことはありません。
こんなことではいけない。一食分のご飯がいくらぐらいかも知らないようでは、ほかの主食系と比較したこともないようでは、米が高いとか安いとかを論じる資格はないと言えるでしょう。さっそく、それぞれ計算してみました。
備蓄米は一食分40円ぐらい。うどんやパスタやそうめんは……?
備蓄米の販売価格は、多くの店で5キロ2000円弱(税抜き、以下同)です。お米一合は約150グラムで、炊き上がりの重量だと約330グラム。定食の普通盛りや牛丼一杯のご飯が200~250グラムなので、一食分に必要な米はだいたい100グラムぐらいでしょうか。5キロで50杯。備蓄米なら一食分40円です(光熱費などは別)。
昨今、スーパーで一般的に売られている米は、5キロ4000円前後。その場合は一食分80円です。魚沼産コシヒカリとなると安くても6000円前後なので、一食分は120円。食べたことがないのでどれだけ味が違うかはよくわかりませんが、さすがにお高いですね。
一食分のご飯の値段がわかったところで、ライバルたちの出番です。うどんにせよパスタにせよそうめんにせよ、安いのから高いのまでさまざま。今回は「お得比べ」なので、近所の大手スーパーでもっとも割安な商品の値段をチェックしてきました。
まずは、うどん。この日は、ひと玉(200グラム)30円の生麺が最安値でした。特売品で、ひと玉18円とかのものも見たことがあります。乾麺もいろいろ並んでいましたが、どんなに安いものでもひと玉30円の生麺よりは“高級品”でした。
パスタは、700グラム248円のものが最安値。一食(100グラム)あたり35円ぐらいです。うどんには及びませんが、備蓄米よりもリーズナブル。そうめんは、600グラム198円のものが最安値で、一食(100グラム)あたり33円です。うどんやパスタやそうめんの小麦粉麺類トリオは、最安値の商品を選べば、どれも「備蓄米よりやや安上がり」ということが判明しました。
ご飯にせよ麺類にせよ、調理するには光熱費がかかるし、おかずや具に関しては贅沢を言い出したらキリがありません。ただ、単品で食べるにしても、ご飯は「塩むすび」というシンプルで安上がりな食べ方がありますが、麺類はスープの素なり麺つゆなり、追加のコストが必要です。そのへんを考えると「いい勝負」と言えるでしょう。