同級生にいそうな親しみやすい女の子たちがアイドルに(写真提供/イメージマート)
かつては高倍率のオーディションを勝ち抜くか、芸能事務所のスカウトに声をかけられるのは特別な少女だったため、学校に一人いるかいないかという存在だった「アイドル」。今では、ライブアイドル、地下アイドル、ローカルアイドル、ネットアイドルなど在り方に多様性が広がったこともあり、まさに”同級生のように”親しみある存在へと変化してきた。地域の公立中学校が、アイドル騒動に巻き込まれたことでどのようなトラブルに至ったのか、ライターの宮添優氏がレポートする。
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テレビのバラエティ番組や歌番組に出演するような文字通りの「アイドル」から、活躍がSNSやネット中心だったり、はたまた地元商店街の活性化を目的に結成されたローカルアイドルまで、世の中右を見ても左を見ても「アイドルだらけ」のようになった。都市部の学校では、学年に何人もの「アイドル」が在籍しているという例も珍しくないという。
オーディション合格直後から学校に誹謗中傷電話やメール
「一学年は300人程度ですが、テレビに出演するようなタレントの子もいれば、SNSで活動する有名配信者、地元のローカルアイドルもいて、学年に5人くらい”アイドル”がいますね」
こう話すのは千葉県某市の公立中学校の男性教頭(50代)。自身の学校にも複数のアイドルが在籍していると認め、学校が賑やかになってよい側面もあると語る一方で、現代らしい、様々な弊害も起きているという。
「ある女子生徒がネットのオーディション番組に合格した直後から、学校に不審な電話やメールが相次ぐようになりました。件の女子生徒が喫煙や飲酒をしているのを見た、不純異性交遊をしているといった真偽不明の内容です。女子生徒本人や保護者にも確認をし、そんな事実がないことはすぐにわかりましたが、根拠がない誹謗中傷をした生徒もすぐに判明したんです」(公立中学校教頭)
通報してきた複数の電話番号、メールアドレスを調べたところ、ある女子生徒の両親の携帯電話やメールアドレスだったことがすぐに発覚。両親と生徒を呼び話を聞くと「嫉妬心から娘が親の携帯を使って嘘の電話やメールをした」と認めた。