自民党の裏金問題は東京都議会にも及び、疑惑の議員は刑事責任は問われなかったものの、都議選では自民党非公認となった。非公認候補の応援演説を行うの井上信治・東京都連会長(左から2人目)(時事通信フォト)
批判したら「老人をいじめるな」
もうあたりまえの話だが多くの自民党関係者すら裏ではあきれている。北関東、30代男性が語る。
「いまさらバラマキですよ、老人しかいない(自民)党はこんな案しか出ないし、数少ない若者(の党員)は老人の顔色を伺うばかりというか、自民党にいる若者なんて頭はおじいちゃん。地方組織もそう。みんな日々の生活でこんなふざけた案が正しいなんて思っちゃいない。でも仕事や近所に差し障りあるから表立って言わない。自民党は田舎政党ですからね、私も言えたぎりじゃないけど、田舎で自営業だと仕事に障るからね」
筆者が気になるのは自民党関係者の多くに面従腹背な人たちが増えたことだ。世代交代もあるのだろうが冷戦時代を知る自民党員に比べれば「仕事貰うため」「近所の手前」が露骨になったように思う。ある意味、より自由になったとも言えるが、2024年末で党員が前年比6万人超と東京の千代田区や大阪の藤井寺市の人口とほぼ同規模の党員が1年で消滅してしまった自民党、消えた年金から加計学園問題、旧統一教会、裏金事件、増税と物価高の無策と好き勝手してきたツケがまわってきている。
「でも、それを主導してきた連中は次々に引退して孫と遊んでる。自民党員の爺さんどもって議員経験のあるなしに関わらず逃げるんですよ、そういう姿勢を批判したら『老人をいじめるな』です。年金暮らしでトンズラ、現役時代はあんだけ自民党でなければ人でなし、みたいに言ってたのにね」
彼は自民党員だが代々の仕事の関係で仕方なく党員をしている。それを差し引いてもこういう若手(政治の世界で言うところの若手)もまた本当に増えた。実際、いろいろあって勤め人になった途端に自民党員を辞めた筆者の知人もいる。その程度とはいえ、その程度こそこの国の自民党政権を支えきたとも言える。
「ある意味、日本人向きの党なんですよ。なあなあで空気読んで長いものに巻かれて寄らば大樹、生かさず殺さずでも日々を楽しめればいいってね」
あくまで彼の見解だが日本、一般国民の疲弊と次々に脱落する中間層という明らかな衰退でそうも言ってられなくなってしまった。賃金は上がらない、物価は上がり続ける、税金や社会保険料は天井知らずで野放しのまま〈その他の方々には一人2万円〉では、そりゃあ右も左も関係なく反発するに決まっている。自民党、それがわからないというのはそうとうにヤバい。