商品券配布について、改めて記者団に語る石破茂首相(右端)。2025年3月14日、首相官邸(時事通信フォト)
石破首相は3月、自民党の新人議員に対して一人10万円を配った。すっぱ抜かれて全員が返却したが石破首相、人気のない王様ゆえに施しが大好きらしい。自民党関係者によれば当初は国民に対しても一人10万円の案だったがコロナ禍に実施した10万円バラマキを思い出させるからと却下になったそう、やはりバラマキではないか。
参院選で票を入れて勝たせてくれたら自公政府という「上」が施してくれる2万円、ミスリードでなくシンプルにそういうことだろう。ということはついに自民党は一人2万円の価値しかなくなったのかと、かつて米ソと渡り合ったころの強い自民党をギリ知る身としては寂しい限りだが、確かに本当の「消費期限切れ」が近づいているのかもしれない。
7月の参院選の前哨戦とされる都議選、自民党は過去最低の21議席で惨敗となった。自民党都議にも裏金問題が噴出し非公認となった議員も多いが、その裏金議員が無所属として当選してすぐ追加公認する行為に批判が集まっている。もう開き直っているとしか思えない。とりあえず2万円の効果は都民に効かなかったようだ。むしろ都議選前日にガソリン減税法案を事実上の廃案に追い込んだツケが加わってしまった。それで都議会127議席中のたった21議席、大惨敗である。
次は参院選、結果はともあれ自民党の大敗も、自民党が一人2万円で踏みとどまったとしてもそれは国民の選択、日本はそういう国というだけしかない。そして投票率が半分いけばいいほうという傾向が参院選もそうなら、これまたそういう国と、そういう国民ということになってしまう。
どちらを選ぶにしろ、選挙は行こう。都議選は47.59%、前回より増えたとはいえ都民の約半分が投票すらしない。都民を笑うなかれ、日本人は前回の参院選(2022年)だって53.85%で国民の約半分が投票すらしなかったのだ。心の底からナメられないために、必ず選挙に行こう。
日野百草(ひの・ひゃくそう)/1972年生。出版社勤務を経て、内外の社会問題や社会倫理、近現代史のルポルタージュを手掛ける。日本ペンクラブ広報委員会委員。