わずか2週間で2人も指名の客がついた
さて、ここからが本題である。性風俗産業の本質は「オーガズムの提供」ではなく、「性行為そのもの」にある。たとえ違法と言われても、実態としてはそういう側面があるのは否めない。
そうした実態に基づいた性風俗の規制の歴史は、どの時期であっても、基本的には「適法と認めはしないが、それとなく黙認する」という裏のルールに支えられてきた。現代において、女風の業務委託契約書が「本番行為」を禁止しているのも、その建前の表れに過ぎない。
「まあ、そうですよね。店長から口頭でも言われました。『お客さんとガチ恋してもいいけど……意味わかるよね……最低、ロングからにしてね』」
ロングとは、夜10時から朝8時までの泊りのコースで、10万円の料金が設定されている。
「もし本番をやったら、セラピストは罰金50万なんですけど。あんまりリアリティなかったですね。ホストやってみた時も思ったんですけど、お金もらってエッチするとか、そんな簡単じゃないし」
そう思っていた丸山さんは、翌日からセラピストを始めると驚くことになった。わずか2週間で2人も指名の客がついたのだ。
店を通さない「裏引き」は、本番よりヤバい罰金150万
「美香と亜李紗、2人ともかなり可愛いかったですね。最初は泊りとか全然ないですよ、デートだけ」
特に熱心だったのが、赤羽のキャバクラで働いている亜李紗だ。初回は2時間のカラオケデート、2回目は表参道のかき氷屋。3回目でホテルに入り、オイルとパウダーのマッサージをした。わずか2週間で3回もの指名である。
「これはいけるなと思ってたら、メッセージが来て、『これからもデートの時はお店を通すけど、気持ちが入るロングは2人だけでやりたい』って……店を通さない『裏引き』は、本番よりヤバい罰金150万でした。でも、いきなりお客さんが消えていなくなるわけじゃなくて、2回に1回はデートとか施術入れてくれるなら、バレないだろうし、大丈夫かなって」