中国・南寧市の夜市で売られている素揚げのセミ幼虫。中国では酒のつまみにぴったりと言われ、食用のセミ幼虫人気の高まりから高騰、高級食材となっている(Imaginechina/時事通信フォト)
「日本語話せない」
一度、犬が見つけたセミの幼虫を木の枝の上に置いたところ、後ろから近づいてきたアジア系外国人らしき男性がそれを取った。「何をやっているのか」と日本語で尋ねると、「日本語がわからない」と返答。手にはセミの幼虫が入ったビニール袋。「ここで採ってはダメだ」とビニール袋を指差し、指でバッテン印を作って見せると、肩をすくめて「OK」というが探すのをやめない。
「食べるのか」と聞くと、首を横に振って「子ども、子ども」と連呼。「そんなに沢山、どうするんだ」と問うと、「ここは公園、みんなの物。だから採っていい」と言う。「日本語がわかるんじゃないか」と突っ込むと、途端に「日本語話せない。難しい言葉わからない」と顔の前で手を振った。合流してきた女性の手にも幼虫が何匹も入ったビニール袋。「これ、どうするの?」と聞くと、女性はバツが悪そうな顔で俯いた。「食べるのか」と聞くと、上目使いで男性の顔を見上げる。公園での採取は都の条例違反になるというと、「悪いことはしてない。何が悪い」と開き直り、女性の手を引いて去っていった。産経の記事に書かれていた通り「日本語がわからない」「何が悪いのか」と言い張るだけだった。
中国情勢に詳しいジャーナリストにこの話をすると、「中国のある地方ではセミの幼虫は高級食材。生きているセミの幼虫は新鮮で人気があり、この時期にしか食べられない夏の味覚。売ればけっこういい小遣い稼ぎになる」と話す。「彼らにしてみれば、人の家の庭に入り込んで採っているわけではないので、何が悪いんだ?ということだろう。千葉の海岸の岩場で大量に牡蠣を採っていく外国人の密漁が問題になったが、彼らの感覚はそれと同じ。日本ではほめられた行為ではないが、そこにある物を採っているだけ、無駄にするよりいいだろうってことだ」。
ミンミンと鳴くセミの声が大合唱になるほど、真夜中の公園を歩き回る外国人らしきグループも増えていく。セミにとっては受難の季節。公園からセミの声が消えていく日がこないことを願う。