今村被告の覚醒剤が北海道で“キヨトブランド”としてブレイク
証拠から明らかになっている広域強盗における4人の役割は、今村被告が計画立案、実行役や運転手の手配、道具の調達、犯行時の実行役への指示。渡辺被告が、経費の支払いや日本からフィリピンへの送金手配、そして藤田被告への指示。藤田被告は、小島被告への実行役調達依頼と、犯行時の実行役への指示。そして小島被告が、藤田被告から依頼を受けて実行役を調達するという具合だ。日本の実行役らとのやりとりは全てテレグラムを用いている。当時、今村被告はアカウント名「ルフィ」、渡辺被告は「シュガー」そして藤田被告は「キム」を名乗り、実行役らとコンタクトを取っていた。
今回小島被告が関与したとして起訴されている3件の広域強盗はこのスキームで実行されたが、協力を申し入れた今村被告と渡辺グループの3人は、当時、友好的な間柄ではなかったと、小島被告とその弁護人は主張している。弁護人は冒頭陳述で、今村被告を覚醒剤依存にさせビジネスを乗っ取る計画があったと明かした。
「渡辺と藤田は今村に特殊詐欺の協力を申し出るとともに、覚醒剤を今村に薦めて依存させ、支配しようとしていた。これを小島さんはただ傍観するだけだった……」(弁護側冒頭陳述)
「今村の覚醒剤自体が、北海道で“キヨトブランド”としてブレイクしていると渡辺から聞きました。その後、主に藤田ですが『今村は羽振りが良すぎるから、あいつのビジネス全部奪う』と言っていました。今村は当時ビクータンで『和牛のキヨト』ってあだ名がついてたくらいなんで、そのビジネス全部奪って、脱走をもちかけて、外に出したらあいつを殺すって藤田が言っていました。藤田が言う以上、本当にやると思っていました」(被告人質問での小島被告の証言)
藤田被告は廃ホテルを拠点とした特殊詐欺時代に「接触部隊」と称する集団を立ち上げ、応募してきた受け子のスマホを確認したほか、金を持ち逃げした受け子に拷問を加えるなどしていた過去があった。それゆえ、小島被告は藤田被告による“今村を殺す”発言が本気だったと考えていたようだ。