幹部4人の特殊詐欺時代の関係
カマをかけたら……
当時、今村被告が「ルフィ」を名乗って広域強盗に及んだことを察知したのは小島被告だったと、藤田被告は明かした。
「2022年5月、京都の時計店を襲った事件の後ですね。小島さんが、何かのタイミングで『京都の強盗、キヨトくんじゃないか』と話してて。自分と渡辺がキヨトくんに聞いたら『そんなことない』とごまかしてましたが、その後に『時計買ってくれるとこ、ないか?』と言い出したり、また自分たちもカマかけてキヨトくんに『もう東京に時計運んだの?』と聞くと『あー運んだよ』と言っていたので」(藤田被告の証言)
こうして今村被告とともに渡辺・藤田両被告も指示役として、小島被告がリクルーターとして広域強盗に関与するようになる。このうち2022年に起こした3件の広域強盗で小島被告は起訴されていた。
当初は小島被告がリクルートした日本の実行役を、今村被告に直接紹介していたが、途中でスキームが変わり、両者の間に藤田被告が入ることになる。その理由を藤田被告がこう語った。
「小島さんとキヨトくんで金の件でケンカになって、渡辺が自分に対して『間に入るように』と言い、そうなりました」
ケンカのキッカケは今村被告が日本の実行役への報酬を払わなかったことだという。
「小島さんがリクルートしてキヨトくんの指示通りに人を渡してたんですが、報酬が貰えないことがあって、払う払わないでケンカに……。キヨトくんに話を聞いても、キヨトくんの言い分があり、小島さんの言い分も間違いじゃない、悪くなくて、だけど渡辺にすると『だからといって仕事しないわけにいかない』となるので小島さんを説得してたんですが、それでも小島さんは『キヨトと仕事するのは嫌』と言ってたので、渡辺からは『じゃあ(藤田被告が)間に入ってリクルートしたことにして、小島さんのリクルートした人間をキヨトくんに繋いで』という話になりました」(藤田被告の証言)
こうした形で進められた広域強盗で、今村被告は「強盗に入るターゲットの情報を提供する」役割のほか、藤田・渡辺両被告とともに指示役を担っていたという。しかし共に強盗計画を進めながらも「今村被告は別グループ」という認識があったようだ。藤田被告は「キヨトくんだけ違います。ほかの3人は渡辺グループ」と語り、小島被告も同様の認識を持っていた。