かつての“仕事仲間”が互いに「人を殺した」と名指しし合う裁判となった
反目している相手から協力を得ている
違法ビジネスの仲間といえども関係は緊迫していたようだ。今村被告から強盗の手助けを持ちかけられた当初、渡辺グループの間でこんな話があったという。
「今村がJPドラゴンと繋がったことで、今村は僕らを殺すと言っていた。『殺すと言っている人間を助ける義理はない』と藤田が言い、僕もそう思ったので、やめたほうがいいと渡辺に言いました」(小島被告の証言)
渡辺グループはかつてフィリピンの拠点で特殊詐欺を行なっていた際、JPドラゴンに騙される格好で構成員を奪われた過去があるという。そのため「JPドラゴンと渡辺グループとは反目するようになった」と小島被告は語っている。渡辺グループから見れば今村被告は、反目している相手から協力を得ている立場になる。しかし彼らは躊躇いながらも今村被告と手を組んだ。「『あいつのビジネス全部奪う』と藤田が言っていた」と小島被告は語っていたが、実際に強盗で得た被害金は、今村被告ではなく渡辺被告らが管理するようになっていったという。
小島被告曰く“8割ウソ”だという藤田被告の証言では、被害金を渡辺グループが管理することを持ちかけたとき、今村被告は難色を示しながらも応じたのだそうだ。
「キヨトくんのほうにも、案件に成功したらしばらく“仕事”はやめようという話と、そろそろ(収容所から)出るためのプランも進んでたので『一緒に出てから、そのあと違う国に行きたいとなったとき、持ってるカネを使っちゃってたら困るから、こっちで管理するから』と渡辺がキヨトくんに言いました」(藤田被告の証言)
本当かどうか疑わしいが、渡辺グループからそんな話を持ちかけられた今村被告は、最終的に次のように応じたのだと藤田被告は言う。
「必要なときに小遣いみたいにもらえるんだったらいいよ。他の国、移った時も頼むね」