戦後80年最高の総理ランキングトップ10(1~3位)
そう評価する声が多い反面、「森友問題はじめ権力の私物化で政治の道義を破壊した」(政治学者の山口二郎氏)との批判も強い。元文部官僚の寺脇研氏が指摘する。
「小泉政権、民主党政権、安倍政権の3つの政権で進められた誤った政治主導で行政機能が無残に崩壊した。今、総理に必要なのは行政組織、すなわち官僚に国民のために最大の力を発揮させる政権運営能力だと考えます」
小泉氏も「最高」6位、「最低」5位と毀誉褒貶分かれた。「自民党をぶっ壊すの掛け声で構造改革を党内の権力闘争の道具に利用した。乱発した規制緩和で都市と地方、貧富の格差を拡大させた」(政治ジャーナリスト・藤本順一氏)との評価もあれば、「郵政選挙を乗り切った行動力と、総理を辞めてからいきなり原発反対に転じた自由奔放さが評価できる」(ジャーナリスト・大谷昭宏氏)との意見も。まだ評価が定まらない安倍氏も小泉氏も「歴史の審判」を受けるのはこれからだろう。
戦後80年を経て再評価されている首相もいる。首相在任わずか2か月で病気退陣したにもかかわらず、7位と評価が高かったのが石橋湛山氏だ。
「総理に必要なのは確固たる国家観と歴史観だと思う。石橋湛山は戦前に『小日本主義』を掲げ、植民地放棄と軍縮を唱えた。この主張は戦後日本の姿と重なる予言的なものであった。その国家観は卓越し、現代政治にも転用できる理想型」(評論家の古谷経衡氏)
(第3回に続く)
※週刊ポスト2025年8月15・22日号