パーマンのキャラクター (シンエイ動画HPより)
パーやん──『パーマン』
『パーマン』は、1966年から藤子不二雄名義で、また1987年からは藤子・F・不二雄名義で小学館の『週刊少年サンデー』や『月刊コロコロコミック』、また学年誌等に連載されたギャグマンガである。また、1967年から1968年に、TBS系列でテレビアニメが放送された。このマンガに、有名な関西弁キャラが登場する。
主人公の須羽ミツ夫は何かにつけてぱっとしない小学生だが、宇宙人からもらったパーマンセットを身につけると怪力や飛行能力など、超能力を発揮できるようになり、その力で世の中の正義や平和を守るように宇宙人に託される。ただしその秘密を家族や友達にばらすと、動物に変えられてしまうのである(新版の設定による)。
作品が回を重ねるうちに、仲間が増えていって、パーマン2号、3号、4号と呼ばれるが、2号の正体はブービーというチンパンジーの子どもであり、3号は「パー子」とも呼ばれ、正体は少女アイドル歌手の星野スミレである。そして4号が「パーやん」と呼ばれる関西弁キャラである。
パーやんの正体は大阪の金福寺という古刹の優秀な小坊主で、台詞はすべて関西弁風である。小太りで大食いキャラであり、パーマンの超能力を使って運送業など副業にもいそしみ、「正義だけではもうからんよってな、アハハハ」とうそぶいて、パー子に「いやあねえ」と言われたりするのだが、単なる守銭奴ではなく、現実を的確に受け入れ、洞察力に富んだ大人っぽい行動をするしっかり者として描かれている点が興味深い。
パーマン「パーマンのつとめをなんと思ってるのだ。その力は正義を守るためのものだぞ!」
パーやん「正義はちゃんと守ってるがな。その合間にちょっとアルバイトしとるだけ
や。正義だけではもうからんよってな、アハハハ。」
パー子「いやあねえ。」
(藤子・F・不二雄『パーマン』【1】)
マンモス西──『あしたのジョー』
『パーマン』とほぼ同時代、一世を風靡したスポーツマンガにも関西弁キャラが登場した。『あしたのジョー』のマンモス西である。
マンモス西は、高森朝雄原作・ちばてつや画の『あしたのジョー』の登場人物である。『あしたのジョー』は、1967年から1973年まで『週刊少年マガジン』に連載されたボクシング・マンガで、不良少年であった主人公・矢吹丈(ジョー)がボクシング・ジムのトレーナー、丹下段平に見いだされ、やがて人並み外れた才能によってボクシング界を駆け上がっていく姿を描いた作品である。後にアニメ化もされた。ちなみに原作者の高森朝雄は梶原一騎の名前で同時代の野球マンガ『巨人の星』に原作を提供しており、『巨人の星』『あしたのジョー』はいわゆる「スポ根マンガ」の一大潮流を作ったのである。
マンモス西は、ジョーと少年院で出会い、最初はリンチでジョーを痛めつける敵役であったが、やがてジョーの仲間となり、その活躍を支える役割を担っていくバディ的人物である。最初は強面の不良であったが、後に更生して真面目な青年となり、商売でも成功する。
大食いの大男であり、経済活動で才能を発揮するといった点は、「パーやん」とも共通するキャラクターであると言える。
マンモス西「ふ…新参やな/かわいい顔をしとるやないか/まあ例によって例のごとくや…/たっぷりかわいがってやりい」
(高森朝雄・ちばてつや『あしたのジョー』【1】)