「舐めたことをしてたら相手に見透かされる」
「りりちゃん」のほうでも宇都宮さんのことを知っていたらしい。
「彼女、逮捕される前は女性専門のカプセルホテルで暮らしていたんですけど、その共用スペースに『ホス狂い』が置いてあったそうで、『読みましたよ』って。私が喜ぶことを言おうとしてくれていただけかもしれないけど、そう話していました」
確実に面会できる保証はないのに早起きして東京から名古屋に頻繁に通い、一時は名古屋に部屋まで借りていたという宇都宮さんののめり込み方はただごとではない。
「どんな取材でもそうなんですが、舐めたことをしてたら相手に見透かされるという気持ちがありまして。当時、自分の仕事がうまくいっていなくて。接見とかしていると、仕事している気になれるじゃないですか。そうやって現実逃避していた面もあります。
面会を重ねるうちに相手にシンパシーを感じて、そうしたことが重なってこれほどのめり込んだんだと、いまになると思います」
事件記者として、取材相手との間に引いていた一線を自分は越えている、客観性を失っているのではないかという宇都宮さん自身の心の動きも克明に記録されている。
「被害者への弁済に充てるというので彼女が手記を書いていたんですけど、自分のことを書くのがつらいとずっと言っていて。もともとX(旧Twitter)でも発信してきた人だから『何がそんなにつらいの?』って聞いたら、『自分がどうやってこんな悪い人になったか書かなきゃいけないのがつらい』と言ってて。彼女はそこまでして自分と向き合っているのに、私だけ、『これは社会のひずみだ』とかきれいごとを書いても仕方ないと思って、自分がどう感じたかも隠さず書こうと思いました」