ボウヤー氏の仲間が撮影したという水原。折れた大谷のサイン入りバットを手に笑顔を見せている(ボウヤー提供)
「同じギャンブル依存症者として…」
事件発覚から5日後、大谷はドジャースの本拠地で記者会見を開き、険しい表情でこう語った。
「本当に数日前まで、彼(水原)がそういうことをしていたというのも全く知りませんでした」
自身の関与については完全に否定し、それは裁判でも証明された。ボウヤーも「翔平は一切、ギャンブルには手を出していない」と断言した上で、それでも大谷が会見で「(水原が)ギャンブル依存症だと知らなかった」と発言したことだけは、未だに腑に落ちていないようだ。2年半で1万9000回も賭けたことに、気づかないわけがないという。
「1回賭けるのに要する時間はおそらく2〜3分。ウェブページを開き、自身のアカウントにログインし、チームを探して賭ける。ただスポーツ賭博は、そこからが醍醐味なんだ。お金だけ賭けて試合中継を見ないことは、同じギャンブル依存症者として考えられない。
そんな状態が2年半も続いたのに、一平のギャンブルを知らないわけがないだろう。家族に隠れて1本タバコを吸うのはできるだろうけど、1日に3箱は無理なのと一緒だよ。
翔平が一平の賭博癖を知っていたからといって、彼には何の罪もない。本当は知っていたけど、事態が複雑化するのを避けるために、知らなかったことにしたのではないか」
大谷はこれまで、2件の訴訟を受けた。1件は仮想通貨の広告塔になったこと、もう一つは今年8月、ハワイに購入した別荘をめぐって、ディベロッパーから代理人と大谷本人が訴えられた件だ。
大谷は常に「何も知らなかった」、「代理人に任せている」といった説明に終始している。グラウンドに集中するからこそ前人未到の“二刀流”を続けられるのだが、今後も大谷マネーを狙う者は現れるだろう。
ボウヤーの言葉は真相解明につながるだろうか。
(了。第1回から読む)
【プロフィール】
水谷竹秀(みずたに・たけひで)/ノンフィクションライター。1975年生まれ。上智大卒。2011年、『日本を捨てた男たち』で第9回開高健ノンフィクション賞を受賞。10年超のフィリピン滞在歴をもとに「アジアと日本人」について、また事件を含めた現代の世相に関しても幅広く取材している。
※週刊ポスト2025年9月12日号