芸能

《音楽番組の再ブームから1年半》なぜ今、『CDTVライブ!ライブ!』は「1人勝ち」と言われるのか 

『CDTVライブ!ライブ!』に出演するMrs. GREEN APPLE(公式HPより)

『CDTVライブ!ライブ!』に出演するMrs. GREEN APPLE(公式HPより)

 各局が音楽番組を相次いで制作し、“令和の再ブーム”が続く中、異彩を放っているのが『CDTVライブ!ライブ!』(TBS系)だ。ネット上の反響などから「1人勝ち」とも言われるほど高い評価を受けているのはなぜか? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。 

 * * * 
 2014年春、日本テレビが『with MUSIC』、フジテレビが『ミュージックジェネレーション』とゴールデンタイムの音楽番組がそろってスタートしました。さらにTBSも『CDTV ライブ!ライブ!』の放送時間を2時間に拡大し、長年放送されていたテレビ朝日の『ミュージックステーション』を合わせた主要4局の音楽番組がゴールデンタイムにそろい踏み。2010年代には「終わった」と言われ、ゴールデンタイムでの絶滅が噂された音楽番組が「再ブーム」と言われるほどの復活を遂げました。 

 しかし、そこから約1年半が過ぎた現在、ネット上の反響やアーティストの支持などで「1人勝ち」と言われているのが『CDTVライブ!ライブ!』。9月1日には3時間SPが放送されますが、その内容に「なぜ1人勝ちできたのか」という理由が表れています。この番組のどんなところが視聴者とアーティストの心をつかみ、他番組とはどんな違いがあるのでしょうか。 

なぜ音楽番組は再評価されたのか 

 まず1年半前に音楽番組の再ブームが起きた理由について。 

「音楽番組の最盛期」と言われる1980年代から1990年代は国民的なヒット曲やミリオンセラーなどの誰もが歌える楽曲が続出しました。しかし、アーティストの数が増え、好みの細分化などによってそれらが誕生しづらくなり、さらにネットで音楽を楽しむ人が増えたことで、テレビの音楽番組に対する需要がダウン。「テレビで音楽を聴く時代は終わった」とまで言われていました。 

 しかし、YouTubeやサブスクで音楽を楽しむ人が増えたことで、逆に一周回ってテレビで放送される音楽番組の価値がアップ。特に「YouTubeやサブスクでは見られない生放送のパフォーマンスを楽しみたい」というニーズが上がっていきました。そこに推し活ブームが加わり、「推しを応援するためにリアルタイムで音楽特番を見る」「SNSに書き込みながらファン同士で楽しむ」という人が増えたことで、業界内では音楽番組を再評価する声が徐々にあがりはじめたのです。 

 民放各局にとっても視聴率低下に苦しみ、特にスポンサー受けのいい若年層の個人視聴率獲得が課題とされる中、音楽番組は彼らにリアルタイムで見てもらう絶好のコンテンツ。2010年代中盤あたりから年に数回放送される大型音楽特番は一定の支持を得ていましたが、コロナ禍が明けたころにはレギュラー番組を放送したほうがいいだろうというムードに変わっていました。 

ライブに徹底してこだわるスタッフ 

 ではなぜ『CDTVライブ!ライブ!』は民放主要4局がゴールデンタイムでそろい踏みする中、飛び抜けた存在となったのか。 

 最大の理由はライブにこだわったコンセプトと演出でしょう。フルサイズでの歌唱をベースにしてトークパートなどを作らない、縁のある場所や人気スポットからの生中継、特定アーティストのフェス企画など、制作サイドはこの番組でしか見られないアーティストのパフォーマンスを引き出そうとしてきました。 

 制作サイドがライブにこだわることによって、視聴者は動画やサブスクなどとは異なる臨場感を楽しめる上に、ライブに参加している感覚を体感できるほか、SNSを使ってファン同士で盛り上がることが可能になりました。「多くの人々が生放送を同時に見て楽しさを共有する」というテレビの原点に返るようなコンセプトと演出が令和の若年層にも響いたのでしょう。 

 また、ライブにこだわった演出はアーティストとの綿密な打ち合わせが必要なだけに、放送を重ねるごとに制作サイドとの信頼関係が構築されていきました。さらにその信頼関係は「季節ごとに放送される長時間の大型特番につながっていく」という好循環につながっています。 

関連キーワード

関連記事

トピックス

サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(時事通信フォト)
《総スカン》違法薬物疑惑で新浪剛史サントリー元会長が辞任 これまでの言動に容赦ない声「45歳定年制とか、労働者を苦しめる発言ばかり」「生活のあらゆるとこにでしゃばりまくっていた」
NEWSポストセブン
「第42回全国高校生の手話によるスピーチコンテスト」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
《ヘビロテする赤ワンピ》佳子さまファッションに「国産メーカーの売り上げに貢献しています」専門家が指摘
NEWSポストセブン
王子から被害を受けたジュフリー氏、若き日のアンドルー王子(時事通信フォト)
《エプスタイン事件の“悪魔の館”内部写真が公開》「官能的な芸術品が壁にびっしり」「一室が歯科医院に改造されていた」10代少女らが被害に遭った異様な被害現場
NEWSポストセブン
香港の魔窟・九龍城砦のリアルな実態とは…?
《香港の魔窟・九龍城砦に住んだ日本人》アヘン密売、老いた売春婦、違法賭博…無法地帯の“ヤバい実態”とは「でも医療は充実、“ブラックジャック”がいっぱいいた」
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、インスタに投稿されたプライベート感の強い海水浴写真に注目集まる “いいね”は52万件以上 日赤での勤務をおろそかにすることなく公務に邁進
女性セブン
岐路に立たされている田久保眞紀・伊東市長(共同通信)
“田久保派”の元静岡県知事選候補者が証言する “あわや学歴詐称エピソード”「私も〈大卒〉と勝手に書かれた。それくらいアバウト」《伊東市長・学歴詐称疑惑》
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
「少女を島に引き入れ売春斡旋した」悪名高い“ロリータ・エクスプレス”にトランプ大統領は乗ったのか《エプスタイン事件の被害者らが「独自の顧客リスト」作成を宣言》
NEWSポストセブン
東京地裁
“史上最悪の少年犯罪”「女子高生コンクリート詰め事件」逮捕されたカズキ(仮名)が語った信じがたい凌辱行為の全容「女性は恐怖のあまり、殴られるままだった」
NEWSポストセブン
「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路とは…(写真/イメージマート)
【1500万円が戻ってこない…】「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路「経歴自慢をする人々に囲まれ、次第に疲弊して…」
NEWSポストセブン
橋幸夫さんが亡くなった(時事通信フォト)
《「御三家」橋幸夫さん逝去》最後まで愛した荒川区東尾久…体調不良に悩まされながらも参加続けていた“故郷のお祭り”
NEWSポストセブン
麻原が「空中浮揚」したとする写真(公安調査庁「内外情勢の回顧と展望」より)
《ホーリーネームは「ヤソーダラー」》オウム真理教・麻原彰晃の妻、「アレフから送金された資金を管理」と公安が認定 アレフの拠点には「麻原の写真」や教材が多数保管
NEWSポストセブン
”辞めるのやめた”宣言の裏にはある女性支援者の存在があった(共同通信)
「(市議会解散)あれは彼女のシナリオどおりです」伊東市“田久保市長派”の女性実業家が明かす田久保市長の“思惑”「市長に『いま辞めないで』と言ったのは私」
NEWSポストセブン