女子高生は41日間にわたって監禁され、凌辱の後コンクリート詰めにされた(写真はイメージ)
薬物依存の可能性は「当初から予測できた」
まず、近藤氏に、事件を最初に知ったときの率直な感想を求めた。
「事件を聞いたとき、あれほど残忍なことができたということは、とてもシラフでやったんじゃないなって思った。シラフではない状態で女子高校生を凌辱したに違いない、と。人間はドラッグを使用したときに、普通じゃないことをやれるようになる。例えば、セックスなんかでも、クスリを使ってるときと、使ってないときとではぜんぜん違う。酒飲んでも、女性に対して、普段ならできないような異常なことをすることがある」
シンナーの介在は当初から予測できた、と近藤氏は言う。
「シンナーだろうなって感じはしてた。なにかを媒介しないとそこにグループはつくられない。暴走族だったらバイクだし、この場合はシンナーだろう、と」
犯人の少年はシンナー常習者で、女子高生にもシンナーやタバコを強要したという(写真はイメージ)
シンナーに依存する少年たちの共通項
近藤氏は、自身の体験やDARCの活動を通じて、シンナー依存の少年たちの行動や内面性に、一定の共通項があることを見いだしている。氏が僕に開陳したその論理は、当事件の展開と大筋において沿うものだった。
「一般的にいうと、シンナーを中学生ぐらいで覚えた子は、だいたい高校1年生でリタイヤする。その理由は、シンナーの持つ時間のスピードに関係している。使っているときの速さと、やめてからのかったるさの長さ──これに耐えられるか、耐えられないかということ。耐えられないと、高校に入学しても、授業を受けられない。そうすると、だいたい1学期で学校に行けなくなる。そして、2~3年次で昼夜が逆転してしまう」
この事件は、主犯格の少年に付和雷同的に、ほかの少年たちが引っ張られていった。主犯格の少年は柔道の選手であったため、喧嘩がやたらと強かったが、いったん怒りだすと、なにをしでかすかわからないという恐怖で支配していた。
「つまり、下の少年たちはそいつの陰に隠れるっていうか、安全地帯にいたというか、強い力の下にいるというのは居心地いいことだろう。きっと、主犯格の少年に、そういう強さはあったんだろう。リーダーシップっていうのか。グループを形成するのに、おれはこういうことができるっていう、なにかハッタリみたいなものをかます力というのか」