小川市長が市政について市民に伝えるため発行していた「キラキラ通信」。表紙では四季折々の前橋市をバックにした小川市長の笑顔が映える
「奥さんと子どもがかわいそう」
で、その小川市長、連れて帰りたいところだが「(前橋)市民のために力を尽くしていきたい」とのことなので無理そうだ。首長を辞めさせることは現行の仕組みではとてつもなくハードルが高い。現在進行系の伊東市制の惨状を見ればわかるように、一度就任して何かあったらボロボロになるまで居座られてしまうし、それが可能な制度下にある。
それにしても小川市長、やはり伊東市長の話と同じになるが、発覚時の対応とその後の態度がすべてのように思う。ごまかし、だんまり、言い逃げを繰り返しては市民から総スカンをくらうのは当然である。
ラブホで男女の行為があったかどうかはともかく公用車の繰り返しの私用、まして不倫とするなら市長としての倫理はもちろん「公用車の私的使用」にあたる。舛添要一東京都知事(当時)が約100キロ離れた湯河原町の別荘をはじめ東京ドームの野球観戦、NHKホールのコンサート鑑賞などに公用車を使った行為は監査委員会から「違法」とされ一部を返還することになった。金額や距離の問題でなく、小川市長もまたモラル面でこれ以上の厳しい追及を受けるだろう。
そして万が一、これまでの説明がウソだったとするなら、学歴詐称という個人の間抜けなウソと違い、相手の男性の妻や子といった家族をも巻き込む大変な事態になってしまう。
実際、前橋市民も「奥さんと子どもがかわいそう」と多くが男性職員の妻子のことを心配していた。すでに妻子は巻き込まれている。本当に「おやげねえ」(可哀想)だ。
もうすでに大変な事態になっているような気もするが、その相手の男性が9月25日付で降格の人事異動が発令されていること、それが自ら申し出た降格だという10月2日の小川市長の説明――。
もし、このなにもかも〈みんなが嘘だと分かっていること〉だったなら小川市長、政治的にだけでなく人として社会的に終わりかねないこと、覚悟できているのだろうか。
●日野百草(ひの・ひゃくそう)/出版社勤務を経て、内外の社会問題や社会倫理、近現代史や現代文化のルポルタージュを手掛ける。日本ペンクラブ広報委員会委員。
※一部敬称略