取材時に持参された鳥型サブレーやクッキー。自宅には常時250点ほどが保管されているという
「こだわりが強いお菓子屋さんほど大変そうです。小麦や卵、砂糖など、使用する銘柄にこだわりがある場合、仕入れ価格が高くなったからといって簡単に変更することはできません。
私の知っているお店でも、ずっと使っていた国産の小麦粉が手に入らなくなったからサブレーの販売をやめるという話を聞きました。別のブランドの小麦粉や輸入小麦粉では、同じものが作れないから、というのが理由です。日本のお菓子屋さんなのに、国産の小麦粉が手に入らないなんて残念ですよね」
さらに高橋さんが懸念するのが、材料費の高騰による味や質の低下だ。
「クッキーは小麦粉、バター、卵、砂糖があってこそあの芳醇な味が出せる、と考えている洋菓子屋さんは多いんです。それをわかってはいながら、材料費の関係などで泣く泣く小麦粉を米粉に変えたり、卵不使用にしたりしている洋菓子屋さんもいます。もちろん最初からプライドを持って米粉クッキーを製造する方もいますが。
仕方なく品質を落としているということであれば、それはすごく胸が痛みますね。またそうやって本来のクッキーの味ではないクッキーが増えて、その味が標準化してしまうことにも懸念を抱いています。
子供たちに『クッキーってあんまりおいしくないよね』と思われたくはないので。苦しいとは思いますが、品質だけは落とさないでほしいなとファンとしては願っています」
