年寄名跡の“渡り鳥生活”になる親方
その遠藤の引退報道が出るきっかけとなったのが、九州場所の番付発表があった11月27日に相撲協会から北陣親方(元前頭・天鎧鵬)の退職が発表されたことだった。若手親方のひとりが言う。
「『北陣』は遠藤が所有する年寄名跡。年寄名跡取得が入門時の条件で、元関脇・麒麟児の北陣親方が2018年に定年退職した後は遠藤の所有となっていた。その後は元・翔天狼、元・琴勇輝が遠藤からの“借株”で親方として残り、直近は日大の先輩・天鎧鵬が借りていた。
年寄名跡を所有せずに“借株”で協会に残ると、所有者の都合によって年寄名跡の渡り鳥生活をしないといけない。元・天鎧鵬も2019年春場所での引退後、琴奨菊の持つ『秀ノ山』、元・益荒雄の『音羽山』、九重部屋の『佐ノ山』と名跡変更を重ね、2023年7月から遠藤の『北陣』を借りていた。
元・天鎧鵬は若手親方のなかでは人気があり、公式YouTubeチャンネルの常連で幕内取組の生解説での司会もやっていた。国技館内の親方売店『SuMALL』でも中心的な役割を果たしていた。協会内で重宝されていた親方の退職が発表されたことで、『北陣』の所有者である遠藤の引退であろうと察しがついた」