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高田文夫氏 “おとなの修学旅行”で金沢へ行き、太田光と「喜寿(77歳)還暦」トーク、テレビでは明石家さんまと太田光が「古希(70歳)還暦」の爆笑漫才

“おとなの修学旅行”を満喫(イラスト/佐野文二郎)

“おとなの修学旅行”を満喫(イラスト/佐野文二郎)

 放送作家、タレント、演芸評論家、そして立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、おとなの修学旅行「喜寿還暦」について。

 * * *
 別れは突然やってくる。やっぱり“さよならだけが人生さ”なのだろう。まったく食べられない20代の頃、本当に世話になった疋田拓氏が亡くなっていた。83歳。1960年代1970年代歌謡曲がテレビの中で大全盛の時代、生放送の『夜のヒットスタジオ』。業界では知らぬ人なし、歌番組の首領。名人芸とも思われるカメラワーク、水、風、スモーク。その演出は毎週毎週目を見張った。ジュリーが、五木が、森進一が秀樹が百恵が……その中で思う存分気持良く歌った。

 拓さん(近い人はみな、たくさんと呼ぶ)は、私の先輩で日大芸術学部。その上空手部とあってみな怖がったが根はまっすぐでいい人。特に後輩ということもあって私は人一倍可愛がられ『スターどっきり(秘)報告』の構成を任せてくれたり、ありとあらゆる歌の特番はみな私が書いた。

 時々怒鳴られたけどゴハンを食べさせてもくれる人だった。もう時効だが演歌歌手などの地方公演の台本もアルバイトと称して書かせてくれた。これがカミさんに内緒の取り分で一杯飲めるから20代の私はお金には困っていなかった。

 1980年、すぐに漫才ブームがやってきて歌謡曲の勢いもなくなっていく中、拓さんは「タカダちゃん、たけしと好きなだけやった方がいいよ。えらくなって高田センセーになっても、オレの番組だけは書いてくれよ!」。強面で業界ににらみをきかせたが私には本当にいい先輩だった。お世話になりました。合掌。

 この業界で55年もやっているがどこでも出会って仕事をしちゃうのが日芸である。“もうひとつの夢グループ”を作ろうと数年前から「オール日芸寄席」なるものを企画。日芸出身並びに中退も可という訳で私、志らく、白鳥、一之輔、テツandトモ、それに手のあいてる時に出演する爆笑問題の太田&田中、そして宮藤官九郎。なかなかの豪華メンバーである。

 この年齢になると一泊で旅行なんてことはめったにできないから仕事を口実にちょいと旅に出ようという訳で「山形」そして今年の春はクドカン連れてガイセンごっこの「仙台」公演。先日はなんと太田光も連れて一同と「金沢」公演。口々に「いやぁ楽しいなあ」。まさに“おとなの修学旅行”。

 3日後テレビをつけると生で“さんま&太田”の爆笑漫才。太田(60歳)が名付けたコンビ名は「古希(70歳)還暦」。しみじみ太田がラジオで「古希還暦の前は“喜寿(77歳)還暦”で金沢まで行ってトークしてんだぜ。どうかしてるよオレ。助けてくれ~ッ」。

※週刊ポスト2025年11月7・14日号

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