初土俵から史上最速となる13場所で関脇昇進を果たした
安治川親方は「目を見て入門させることを決めた」
安治川親方も当初は入門を断わったが、報徳学園相撲部で安青錦と会い、相撲を見て入門させる決断をしたという。安治川親方が語る。
「第一印象では強いとは思わなかったです。ただ、一生懸命やる姿を実際に見て、真面目そうな彼を信用してみようかなと。強くなるかどうかの前に、しっかりやってくれると感じた。素直な目を見て入門させることを決めた。それだけです」
親方は安青錦の強みをこう語る。
「よく考えるところです。言われたことを自分なりに解釈してやろうとするから、身につくスピードが速い。ただ、心も体もこれからです。必要なのはしっかり稽古することと、自信を持つこと。上がる時は上がります」
部屋では関取に与えられる個室ではなく、若い衆が生活する大広間にいることが多いという安青錦。波瀾万丈の歩みがあるとはいえ、まだ21歳の若者だ。インタビュー中に好きな食べ物を聞くと、「好物は焼肉で、特に牛タンが好き。梅干しと鳥の皮は苦手です」と相好を崩した。
そして、改めて今場所への決意を聞くと、こう表情を引き締めた。
「今まで通りやるだけ。1日一番、集中して全部勝ちにいく。全力を尽くせば結果がついてくる。自分らしい相撲で勝てるように頑張りたい」
九州場所で、安青錦の土俵に一際大きな歓声が飛ぶことは間違いない。
(了。前編から読む)
※週刊ポスト2025年11月21日号
