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「夫は体の原型がわからなくなるまで食い荒らされていた」空腹のヒグマが喰った夫、赤ん坊、雇い人…「異常に膨らんだ熊の胃から発見された内容物」

各地でクマの被害が相次いでいる(右は2023年に秋田県でクマに襲われた男性)

各地でクマの被害が相次いでいる(右は2023年に秋田県でクマに襲われた男性)

 全国各地で熊による襲撃事件が相次ぎ、多くの犠牲者が出ている。11月7日朝、山形県米沢市の温泉旅館に熊による“立てこもり”が発生。特に市街地で熊が出没するケースが増加し、秋田県の鈴木健太知事は10月28日、小泉進次郎防衛相に面会し熊対策支援のために防衛省に自衛隊派遣を要請。11月5日には陸上自衛隊が秋田入りした。

 自衛隊は箱ワナを輸送するなどといった支援活動を主に担うが、銃による熊の駆除も行うのではないかと勘違いした人から自治体に“苦情”が入ってもいるという。はたして熊と人間はどう向き合っていくべきなのか──。

 いま大きな問題となっているのは、山間部でひっそりと暮らす熊ではなく、住宅地や市街地まで降りてきて人間を襲う熊だ。そういった熊たちは人間を“エサ”とみなし、容赦なく襲いかかってくる。実は過去にも日本国内では「人喰い熊」による事件が発生している。

 なかでも特に凄惨だったと語り継がれているのが、明治時代に北海道で発生した「札幌丘珠(おかだま)事件」だ。

 その全貌を別冊宝島編集部編『アーバン熊の脅威』から、一部抜粋・再構成して紹介する。

 * * *

餌を求めて札幌市街を駆けずり回るヒグマ

発生年月日:1878年1月11~18日
発生場所:北海道石狩国札幌郡札幌村大字丘珠村(現・札幌市東区丘珠町)
犠牲者数:死者3名、重傷者2名
熊種:ヒグマ

 札幌市民の憩いの場として知られる円山公園がある円山。標高225メートルで、その大部分は今でも原生林で覆われ、北海道開拓が本格化する前にはヒグマの棲みかでもあった。

 1878年1月11日、その円山で札幌在住の猟師が冬眠中のヒグマを見つけた。当時道民にとって熊肉は貴重な栄養源であり、冬眠中は脂肪ものっているためとくに美味とされていた。毛皮なども高値で売れることから猟師は喜び勇んで銃を構えたが一発で仕留めることができず、目覚めた熊の逆襲を受けて殺されてしまう。

 突然眠りを妨げられた手負いの熊は、冬眠中で空腹だったことも手伝って暴走状態に突入。餌を探して札幌市街の全域を駆けずり回った。

 まだ北海道開拓の初期だったとはいえ、札幌市の中心部には3000人ほどが住んでいた。狂暴な熊を放置するわけにもいかず、1月17日には札幌警察による駆除隊が編成される。

 駆除隊によって熊はほどなく発見されたが、市街を中心に逃げ回り、折悪く猛吹雪となり足跡が消えたことで見失ってしまった。

 熊は森林地帯へと向かったが、冬の森に空腹を満たす餌はない。さまよう熊は深夜になって、丘珠村へたどり着いた。当時の丘珠村は、山中で木炭づくりを営む数百人が住む小さな集落で、熊はそのなかの一軒の小屋に目をつける。

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