前回は歓喜の中心にいた3人だが…
激闘の末にワールドシリーズ(WS)を制したドジャース。大谷翔平(31)、山本由伸(27)、佐々木朗希(24)の日本人トリオが躍動したが、次にファンが見たいと願うのは“もう一つの世界一”である来春のWBC連覇のために3人が奮闘する姿だろう。だが、そこにはいくつもの壁が立ちはだかっている。
ドジャースが許可しなかったカーショーの出場
ドジャースの2年連続世界一の興奮冷めやらぬなか、「侍ジャパン」が始動した。来年3月の第6回WBCに向けて11月5日に宮崎入りした侍ジャパンは、12日まで同地で合宿を行ない、15~16日には東京ドームで強化試合に臨む。
国内組の最終選考を経て、メジャーリーガーを加えた最終メンバーが確定するのは来年1月の予定だ。井端弘和監督はドジャースのメンバーについて、「こっちも強化試合があるので、(接触は)その後かなと思っている」と慎重な言い方をした。
次のWBCでは当然、大谷が二刀流、WSでMVPの山本がエース、ポストシーズンでブルペンに回った佐々木が抑えといった世界一トリオの揃い踏みが期待される。だが、実現へのハードルは高いというのだ。メジャーリーグに詳しいスポーツジャーナリストの友成那智氏が言う。
「まず山本ですが、WSこそ最終戦に“中ゼロ日”で登板してシリーズ3勝目をあげたものの、レギュラーシーズンはメジャーの主流である中4日の登板が一度もない。ドジャースはローテーションに苦慮しながら、山本をすべて中5日以上の登板間隔で起用しました」
故障を懸念しての起用法だが、それでも渡米1年目の昨年は上腕三頭筋のケガで60日間の故障者リスト入り。12年3億2500万ドル(約497億円)という投手史上最高額の超長期契約を結んでまだ2年目が終わっただけの状況では、ドジャースとしても慎重にならざるを得ないという。
「そもそもメジャーの各チームは、打者ならまだしも主力投手が春先に全力投球して故障リスクのあるWBC出場に積極的ではない。ドジャースも例外ではありません。前回WBCでは、ドジャース所属でサイ・ヤング賞3度受賞のクレイトン・カーショーが『保険』の問題により米国代表としての出場を断念した例がありました」(友成氏)
メジャー所属選手はWBC出場に際し、故障した場合の損害が補償される保険への加入をチームから求められるが、慢性的なケガを抱えるカーショーは審査に通らなかった。同様に審査に通らなかったタイガースの指名打者ミゲル・カブレラの場合、チームが保険なしでの出場を認めたが、ドジャースがカーショーに許可することはなかった。
「佐々木も同様です。今回のポストシーズンはブルペンの崩壊で抑えに回ったが、ドジャースはオフにブルペンの補強に動く。来季の佐々木は先発に戻す構想とされ、春先は貴重な準備期間。佐々木は前回WBCの2023年を含め、シーズン中の離脱が“恒例”になっているだけに、やはり慎重な判断になるのではないか」(友成氏)
