2021年10月20日、総領事館内で筆者の取材に応じた薛剣氏(右)。筆者の素性をほとんど確認せず取材に応じたことが後に判明している(筆者撮影)

2021年10月20日、総領事館内で筆者の取材に応じた薛剣氏(右)。筆者の素性をほとんど確認せず取材に応じたことが後に判明している(筆者撮影)

 薛剣の過激な発信は親中派の日本人や中国人に支持され、多数(今年11月時点では約11万人)のフォロワーを集めた。結果、彼は連日にわたり100回以上の投稿を繰り返したり、早朝や深夜に書き込んだりと、50代なかばにして完全な「ツイ廃」(ツイッター廃人)と化してしまった。

 駐大阪総領事は中小国の大使クラスの高官だ。しかもポストは日本語でなされているため、投稿内容を理解したうえで彼の暴走を止められる地位の人物は、王毅外交部長(外相)など数人に限られる。

 中国は近年、過度な戦狼外交を抑制する動きを見せているが、「ツイ廃」薛剣は変わらず。なかば任務を離れてSNSを楽しんできた。

「来月は田植えだ!」など意外な素顔も

 いっぽう、中国共産党員としての薛剣は、暴言インフルエンサー以外の顔も持つ。

 党の協力者獲得をおこなう統一戦線工作部の傘下組織と提携するなどして、前任の総領事以上に中国の影響力拡大工作を熱心に進めている事実が確認されているからだ。

 たとえば、彼の言説を支持する日本人フォロワーらに向けて、総領事館主催で新疆ウイグル自治区を案内するプロパガンダ・ツアーを何度も開催。

 また、複数の有名大学にまたがる中国交流系の学生サークルや、仏教伝来の経緯から対中警戒感が薄い関西各地の主要宗派の大寺院に対する取り込み工作も、薛剣自身が動く形で積極的に進められている。日本の政治家との人脈も水面下で拡大したようだ(実際に工作対象者たちに取材すると、彼のXでの本性を知らない人が大部分だ)。

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