見出しが変更されたデジタル版記事(朝日新聞サイトより)
中国に“世論戦”で利用されるリスク
朝日の報道姿勢は中国側も承知しており、峯村氏が2007年から2013年まで北京特派員を務めた当時、こんな経験をしたという。
「私自身は中国に厳しく書くこともあり、本社で直されることもしばしば。ある時は中国外交部の幹部に呼び出され、『あなたはどこの新聞社にいるのかわかっているのか』と言われたこともあります。『あなたが今書いている記事は、朝日新聞の伝統路線から逸脱している』と。朝日を“中国寄り”のメディアであると認識しているのです」
中国大使館のホームページによると、2022年5月31日には、中村史郎社長(現会長)が大使館を訪問し、孔鉉佑大使と会談。「朝日新聞はこれまで一貫して中国報道を重視して」いるなどと述べたとして、写真も掲載している。
しかし、朝日の報道姿勢は、中国が自らへの支持を広げるために展開する“世論戦”の観点から見ても、常に利用されるリスクがあるという。
「今、中国の世論は薛大阪総領事が引用した朝日の見出しの通りに、台湾有事で日本が米軍と協力して中国に反攻してくると見ています。
しかし、実際の高市発言はそうではない。おそらく薛氏もその点を承知のうえで、朝日の見出しを見て『これは使える』と考え、本国に報告してXで引用投稿したと考えられます。本音は“私がやりたかったプロパガンダ通りの都合のいい見出しだ”と思っているでしょう」(峯村氏)
朝日新聞に見出しの問題や、「ご注進報道」との指摘について見解を質すと、「政府が存立危機事態と認定した場合、集団的自衛権に基づく武力行使が可能になります。当初の(中略)デジタル版の見出しはその点を表現したものです」(広報部)として、これまでの説明と同様に「批判を受けて見出しを修正したものではありません」(同前)などと回答した。
日中関係が緊迫するなか、大メディアのあり方も問われている。
(前編から読む)
※週刊ポスト2025年12月12日号
