大東さんが掃除をしていた王将本社ビル前の様子(写真/時事通信フォト)
「私は決して犯人ではありません。“決して”がつきます」──被告人が起訴内容を全面否認すると、傍聴席から「何が無罪だ!」「工藤会なら人を殺していいんか」などと飛び交う怒号。女性の咽び泣く声なども入り混じり、開始早々、一時休廷となった。
2013年12月の早朝、「餃子の王将」を展開する王将フードサービス元社長の大東隆行氏が射殺された事件。事件から約9年経った2022年10月、特定危険指定暴力団・工藤会二次団体本部長(当時)だった田中幸雄被告が逮捕され、さらに3年経過した2025年11月26日、京都地裁で初公判が始まった。
冒頭のように田中被告は真っ向から犯行を否認。「任侠を志すものにとって1つや2つの濡れ衣を被ることはあるが、センセーショナルな事件まで(罪をかぶるのは)到底承服できない」と強硬な態度を崩さなかった。事件を傍聴した全国紙社会部記者はこう語る。
「工藤会関係者も傍聴に訪れていて、緊張感に包まれていた。長い勾留生活、取り調べを受けると供述を曲げる組員も多いが、田中被告は一貫して無罪を主張。
今後は黙秘を貫くと見られていて、被告から新事実が語られる可能性は著しく低いと見ている」
田中被告とはどんな人物だったのか。事件当時を取材した実話誌ライターはこう語る。
「工藤会といえば九州で数多くの抗争事件を起こしていて、田中被告も別の銃撃事件でも実刑判決を受けており、判決では工藤会のヒットマンと認定されています。
二次団体の本部長という肩書きでしたが、自らの組は事実上“一人親分”に近く、大きなシノギも持っていなかった。事務所で暮らして食事や小遣いをもらっていたという証言もあったほど。
もちろんそういう組員が、組織への恩を返すためにヒットマンになるケースは少なくないのですが……彼については陽気な性格だというエピソードが多かったと記憶しています」
